スイスショックの原因とロスカットの不確実性 - 貴方を幸福にするFXブログ

スイスショックの原因とロスカットの不確実性

ふくろうの書き方
そんなに簡単じゃないのさ。

ほんの一時間で4000pipsもの大変動を起こし、アルパリやエクセルマーケッツを破綻させたスイスフランショックですが、その特異性はあまり世間に認知されていないようです。
どこぞの小国が問題を起こした、くらいにしか思っていない人も多いでしょう。

実際為替相場ないし株式相場において暴落なんてのは珍しいものではなく、1年に一つくらいは大暴騰・大暴落を起こす銘柄が出てくるものです。
ライブドアやエルピーダ、東京電力なんてもっと凄い値動きをしていました。

先進国通貨が4000pipsも急変するのは非常に珍しい例ですが、別に前例がないわけでもない。
ユロドルは1年で3000pips動いているし、ドル円は2年で40円動いた。
変動幅で考えれば、極端に大きかったとも言えないのです。

問題は、その変化の勾配。
あまりにも短時間で大きな変化が起こってしまったのが、今回の問題。
それこそが先物取引の最大の欠陥であり、多くの破産者を生んでしまう原因です。

スイスフランチャート
チャートが途切れている!?

為替相場は市場規模が非常に大きく、取引量が多いため、平常時であればどんな注文も必ず通ります。
売り手や買い手の不在で値が飛びやすい株式と違い、指値やストップロスが大きくずれることはまずありません。
土日を除く24時間いつでも売買が成立する約定力こそが、FXの最大の魅力と言ってもいい。

しかし、今回のスイスショックではそれが全く意味を成しませんでした。
逆指値は大きく滑り、強制ロスカットはまるで機能しない。
あちこちで追証が発生し、投資家を破産に導きました。

なぜ注文が通らないかと言うと、売り手が全くいなかったから。
普段ならいくらでもあるはずの反対売買の玉が、このときだけは絶対的に不足していたからです。

上のチャートを見ての通り、注文が成立していたのは1.2~1.18くらいで、その後1.0くらいまでは殆どレートがありません。
カバー先が潤沢な業者であればいくらかの約定はあったでしょうが、大半の業者は約定させることさえできなかった。

その為本来口座資金を守る為のロスカットは滑りに滑り、多くの口座がマイナスに。
エセ賢者もその被害者の一人です。

よく高レバレッジが原因だとか、損切りがどうとか言う人がいますが、それは違います。
注文が刺さらずに変動が続けばレバレッジが2倍以下でも口座残高がマイナスになりますし、逆指値も刺さらなければ意味がない。
本来最も注文が通り易い為替相場で、注文が約定しない状態が異常なのです。

なぜ注文が刺さらない異常事態が発生したのかというと、原因は二つ。
一つは、スイス中銀の口先介入が「注文の空白地帯」を作ってしまったこと。
もう一つは、トレーダーのストップロス注文があまりにも集中してしまったこと。

「注文の空白地帯」というのは専門用語でもなんでもなく、ただの指値がかかっていない価格帯のことです。
クソポジチェッカーを見ればよくわかりますが、為替相場には常に沢山の指値・逆指値があり、レートが動けばそれらが刺さって価格の変動を和らげます。
逆に加速することもあるけど。

クソポジチェッカー

世の中には変人奇人がいるもので、現在のレートからかなり離れたレートでも指値をしている人がチラホラいます。
ドル円80円買いとか、130円売りとか、まず約定しないであろう注文もあったりする。
ずっと昔のクソポジなのか未来への投資なのか知らないが、証拠金の無駄遣いもあったものである。

そんなアホな注文も有事の際は機能し、想定外にレートが動いた時には注文が成立することになります。
相場に絶対はないのだから、無駄ではないのです。

ちなみに猫賢者は全通貨で現在値の20円下に買い指値を入れて1年くらい待ったことがありますが、一つも約定しませんでした。
(やっぱり無駄じゃん)

そんなこんなで為替相場の注文はどんなレートでも大体約定するものですが、今回のスイスの場合は話が違いました。
スイスフランを含む通貨ペアには、ボウフラのように漂う無駄注文さえなかったのです。

普通の通貨ペアであるのなら、500pips先にも、1000pips先にも何かしらの注文はあります。
しかし、EUR/CHFにはそれさえもなかった。

スイス中銀がEUR/CHF>1.2の介入ラインを宣言していたので、誰もそれ以下で買う注文を出していなかったのです。
投機も実需もね。
もっと言うと、ストレートのUSD/CHFでさえレートがなかった。

スイスが介入ラインを撤廃した途端凄まじい勢いでスイスフラン買い注文がかかりましたが、反対売買できる注文がないのだから全く取引が成立しません。
まだ想像内であった1.18くらいまでは注文が成立することもありましたが、そこから先は完全な真空地帯。
全く抵抗のない空間をレートは急降下していったわけです。

普段の為替レートの値が飛ばず、たとえ為替介入中であっても損切りが働くのは、あちこちに指値という障壁があるからです。
指値の殆どないレートでは変動を抑えるものがなく、いくらでもレートが狂ってしまうことを覚えておいてください。
「注文の空白地帯」こそが、今回の悲劇の原因なのです。

ちなみにユロスイのレートを真空状態まで叩き落した原因が、ストップロス注文の偏りです。
EUR/CHFは1.2の介入ラインがあったので、多くのトレーダーはそれを根拠にストップを決めていました。
1.19とか1.18とか、あるいはもっと下にストップが並んでいました。

本来ストップは一定以上損失が拡大させないことで顧客の財産を守るものですが、反対売買であるためレートを悪化させる圧力になってしまいます。
ドル円のように損切りポイントが分散していれば問題はないのですが、スイスフランはあまりにもストップが集中しすぎていました。
1.2を割れた途端ストップがかかり、ストップによる下落が次々と連鎖して、凄まじい暴落を引き起こしました。

誰もが我先にと蜘蛛の糸を登り、周囲の人を蹴落としていく。
そして釈迦に見捨てらえれ、皆が地獄へ落ちる結末。
どこの芥川小説でしょうかね。
もしかしたら、地獄と言うのは地中にあるものではなく、私達が挑んでいるこの相場のことなのかもしれません。

今回の大災害は、スイス中銀の無茶な政策によって注文の刺さらない価格帯を作られたことが原因です。
ドル円やユロドルといったまともな銘柄であるのなら、まず発生することはないでしょう。
FXってこんなに危険なんだ!」
と思った人は、安心して結構です。

しかし、世界を見渡せば、同じような政策を取っている国、あるいは注文に歪みのある国は結構あります。
まだまだ火種(チャンス?)はあると思っていいでしょう。

極端に注文の偏っている価格帯、またはストップロスが集中している価格帯は要注意です。
本当に恐ろしいものは、地面の下に埋まっていることを忘れないでください。

巨大なディグダ

余談ですが、海外大手のXMはスイスフラン暴落によりマイナスになった全ての顧客の資産をゼロに修正したとの連絡がありました。
しかも損害は軽微であり、XMの運営に全く問題はないとのこと。
つまり、XMでスイスフランを取引していたトレーダーは誰一人借金を背負わずに済んだ、ということです。
私もXMにしとけばよかった。

ただの宣伝に聞こえるでしょうが、実際に今回の追証騒ぎを受けて海外に乗り換える人は少なくないようです。
超高速取引が蔓延り、一方的に動く現在の相場において、国内の安全神話は既に崩れかけているのかもしれません。



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