「ロウソクの問題」がFXトレーダーの創造性を破壊する
2017-04-26|負ける理由(真実を知りたい貴方へ)

単純に考えすぎだよ!(ノ_<)
「より良い結果を出すにはどうすればいいのか?」
という問いに対して、多くの人は「報酬を出す」という選択肢を取ります。
営業の仕事なら、給料をい歩合制にして販売を促進させます。
特許や改善案の件数を増やしたければ、アイデアに対してインセンティブを付けて奨励します。
優秀な人材が欲しければ、好待遇を提示した求人を出します。
数学の命題や指名手配犯などでは、高額の賞金をかけて一般人を動かすこともありますね。

賞金稼ぎに狙われています。
「目的を達成したければお金をかけろ」
というのがこの資本主義社会のスタンダードです。
これは決して間違っていません。
けれど、それがいつも通用するとは限らないのではありませんか?
もしも「見返りがあれば人は成果を出す」という考えが常に正しいのなら、
なぜ貴方はFXトレードで勝てないんですか?
ねぇ、教えてくださいよ。
トレードの目的は、ほぼ100%お金です。
中には娯楽としてやっている猫もいるかもしれませんが、普通の人なら利益の追求が最優先に違いありません。

明確に報酬が提示されている以上、投資家という職業が最も高いモチベーションをもたらすのが自明の理。
なのになぜエセトレーダーは優れたトレード手法も発見できなければ、適切な資金管理もできないのでしょうか?
その理由は、グラックスバーグのロウソク問題が教えてくれました。
ロウソク問題とは、心理学者のドゥンカーが行った実験で、
「マッチと箱一杯の画鋲があります。テーブルに蝋が垂れないようにロウソクを壁に取り付けてください」
という設問です。
普通は画鋲でロウソクを打ち付けるか、ロウソクを溶かして壁に接着させようとします。
しかし、それではすぐに剥がれてしまいます。
正解は「マッチの箱と壁を溶かしたロウで接着させ、その上にロウソクを載せる」ですが、柔軟に考えないと思いつきません。
ニューヨーク大学のグラックスバーグ氏はこれにインセンティブを付け、賞金のある場合とない場合でどちらの方が早く正解に辿り着けるかテストしました。
結果は賞金のない場合の圧勝で、3分以上も早く正答したそうです。
「ご褒美が無い方が意欲が湧くのか?」
と考えるかもしれませんが、そうではありません。
荷物運びのように答えが明らかである仕事であれば、報酬があった方が勝ちます。
しかし、人の欲望がもたらす集中力は視野の狭さと同意義なので、見返りを重視するほど発想力は貧困になってしまうのです。

お金に目がくらんでしまった。
トレーダーは単一解のない相場という難問に挑む仕事なので、自由な発想と臨機応変な対応が必要になります。
しかし、成果が自分の口座残高と直結しているために、利益への欲望が発想力や柔軟性を低下させてしまいます。
私達個人投資家は、最初から最も不利な状況に置かれていたわけですね。
お金が欲しいばかりにお金から遠ざかるとは、なんと皮肉な話でしょうか。
人間に単純作業を行わせるのは、報酬や社会の慣習といった外的動機が向いています。
目的と手段が明らかであるのなら、見返りを意識して頑張りましょう。
しかし、トレードや研究のように創造性を必要とする仕事であるなら、外的動機ではなく自分自身の中にある内的動機が必要になります。
好奇心、興味、道徳、楽しさ、社会貢献など理由はそれぞれですが、自主的に行うことが新しい発見への最短距離となることでしょう。
目標は利益でも、時にはそれを忘れてリラックスした状態になることが大切です。
常に欲望が付きまとう投資の世界ではありますが、お金の奴隷になるのではなく、自由な心を持って挑んでください。
