猫が神戸製鋼所の株を買わなかった理由

罰は与えないの!? ( ノД`)
神戸製鋼の不祥事が発覚し、株価はストップ安で値段さえ付かない状況に陥りました。
買い注文170万株に対して売り注文が2700万株というのだから、上場企業では稀に見る投げ売り状態です。

なんでもアルミニウムや銅製品の強度や寸法データを改竄し、要求仕様を満たしていないのに出荷したとのことです。
日産・スバル・マツダなど複数の自動車会社に使用されていた素材だけあって、巨額の賠償責任が生じる可能性もあります。
場合によっては、神戸製鋼所自体の存亡も危ぶまれるかもしれません。
これまでトヨタやシャープ、マクドナルドなど有名な会社の株にはちょこちょこ手を出したきたエセ賢者ですが、神戸製鋼所に対しては一度も株を買ったことがありません。
なぜなら、安倍晋三首相が神戸製鋼所に勤めていたから・・・

・・・というのは全く関係ありません。
猫賢者が神戸製鋼所に投資しなかったのは、以前工場見学をさせてもらったからです。
神戸製鋼は1905年(明治38年)の小林製鋼所を源流に持つ、歴史ある企業です。
山口の事業所に入った時、戦時中の建物(防空壕?)が工場の敷地内にあって、とても驚きました。
古い物を大事にするのはいいことですが、流石に放置しすぎじゃありませんかね。
企業秘密になるので事業内容には触れられませんが、工場内には目に付く箇所が多数ありました。
はっきり言って、5Sは全然できていなかったと思います。
例えば、敷地内の道路。
アスファルトの塗装はすっかり剥げ落ちて、地面には金属片が落ちているのが見かけられました。
清掃や補修が行き届いていなかったのでしょうね。
何十年も前から使っている設備も多く、建物の施錠もアナログ。
外部から光が見える炉や視界の遮られた非常口などもあったので、安全面は大きく欠けていたと思います。

そういった悲惨な状況を自分の目で見たエセ賢者は、当然神戸製鋼所に投資することはありませんでした。
管理の杜撰な組織は、後で必ず問題を起こすからです。
道端のゴミを放置するのも、不正を知っていて無視するのも、本質的には同じことではないでしょうか?
もしかすると、今回の不祥事も氷山の一角なのかもしれません。

エセトレーダーを含めた世界中のトレーダーの殆どは、自分が投資する会社のことをよく知りません。
せいぜい四季報とウィキペディアを読んで、わかったつもりになっているだけです。
利益率や自己資本率などほんの一部のパラメータでしかないのに、それだけ企業の価値を測ろうとしているのです。
オマハの賢人と呼ばれたウォーレン・バフェットは、誰よりも企業を見る力を持った天才でした。
経営者とは直接会って出資を決め、時には自ら取締役となって会社を動かし、巨万の富を築き上げました。
<ウォーレン・バフェットの名言>
株式投資の極意とは、いい銘柄を見つけて、いいタイミングで買い、いい会社である限りそれを持ち続けること。
これに尽きます。
彼は「買うのは企業であって株ではない」と断言し、会社ごと買い取る勢いで投資を続けました。
経営と直接向き合ってきた巨人からすれば、ネットの数字しか見ない日本人投資家は、ひどく滑稽に見えるのでしょうね。

何千kmも離れた外国ならともかく、日本の企業であれば訪問することは難しくありません。
株主や求職者の立場を利用すれば、事業所を見学させてもらうことも可能です。
誰もやろうとはしないけれど、その気になれば生の情報は手に入るのです。
その会社に将来性があるのか?
命の次に大切な種銭を預けるに値するのか?
そう疑問を持ったのなら実際に訪問して工場の稼働状況を見たり、社員と会ってみるのも手かもしれません。

社員を見れば会社がわかる?