安倍総理がイヴァンカ基金に拠出した57億円の正体
2017-11-06|経済を考える

少子化対策の方が重要じゃね!?
安倍首相がイバンカ氏の女性を支援する基金に57億円の拠出を表明したことが、ニュースで大きく取り上げられています。
これに対して福島みずほ参議院議員は、
「大統領の来日に合わせて、安倍総理がトランプ大統領にプレゼントをしたように見えかねない。
なぜこのタイミングなのか?
しかも個人的なプレゼントではない。
みんなの血税だ。」
と批判しています。
しかし、一方では否定する意見もあり、
「拠出は外貨準備高であって、税金ではない」
「トランプの娘の基金ではなく、世界中が拠出してる」
といったように、安倍総理をを擁護する声もあります。
さて、どちらが正しいのでしょうか?
結論から言うと、どちらも別に間違ってはいません。
そして、どちらが正しくても、どうでもいいことです。
新聞には57億円と書かれていますが、実際に出資するのは5000万ドルです。
「税金ではなく外貨準備高から出す」と日本政府が明言したわけではありませんが、基本的にドル建ての拠出は外貨準備高から出されるので、今回も外貨準備高から資金を供給すると見ていいでしょう。

日本政府の海外バラマキはいつものこと。
また、イバンカ氏は基金の発案者ではありますが、運営しているのは世界銀行です。
正式名称は「女性起業家資金イニシアティブ」と言うそうです。
この基金には日本だけではなく、アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダ、中国、韓国、サウジアラビアなど13カ国が資金を出します。
といっても、サウジアラビアと日本の負担額が圧倒的に多いようですが。
日本が出資するのも最近決まったことではなく、前々から話が付いていたようです。
そんなわけで、ネトウヨやネトサポと呼ばれる人々の指摘は概ね正しい。
しかし、そんなことは重要ではないというのもまた事実です。
外貨準備高は確かにドル建てで、国内で使えずに塩漬けになっている側面もあります。
しかし、日本国の大事な資産であることには変わりなく、日本人の負担になっているのも間違いありません。
日本には約1.2兆ドルの外貨準備高があり、その7割は米国債です。
東日本大震災があった平成23年までに日銀は幾度となく為替介入を繰り返し、日本円を売って米ドルを買った結果、膨大な米国債を蓄積してきました。
その辺は、FXトレーダーの皆さんならご存じですね。
為替介入の原資は外国為替資金特別会計で、政府短期証券によって債券市場から調達した円資金を売却してドルを買い入れます。
簡単に言うと、国が借金して米国債を買い支えているわけですね。

国の借金は、最終的に我々日本国民に転嫁されます。
為替損が出ればダイレクトに損失が出ますし、介入によって円の価値が希釈された分だけ、日本人の資産が失われています。
「塩漬けになって使えない米ドルだから海外で有効活用すればいい」
というのはそもそもおかしな話で、円高が終わったのであれば米国債を処理して、国庫を正常化させるのが筋です。
また、各国がある程度外貨準備を蓄えているのは、将来通貨危機に陥った時に自国通貨を買い支えるためでもあります。
それを活用できないからといって他国にプレゼントするのは、本来の役割から逸脱しています。

国はその気になれば無制限に紙幣を発行することができますが、その価値は有限です。
誰かに供与すれば、必ず国民がその分を負担することになります。
税金だろうが貯金だろうが募金だろうが、本質は何も変わらないのです。
どういうわけか、日本人の多くはお金そのものではなく、その財源と用途にひどくこだわる傾向があります。
タバコ税や酒税が幾度も値上げされましたが、直接自分と関係のない出費には殆どの人が無関心です。
自腹さえ切らなければ、いくらでも資金を使っても構わないと思っている人もいます。

どこかの元知事みたいに。
女性支援としてイバンカ基金に出す57億円も、韓国の慰安部財団に出された10億円も、株価つり上げのためにETFに費やされた6兆円も、日本人の負担であることは同じです。
財源も用途もまるで違うけれど、最後には我々日本人がそのツケを払わなくてはいけないのです。
どこからお金を出すかが、そんなに重要でしょうか?
一見正しいことにお金を使っているように見えても、それが本当に善行であると証明できるのでしょうか?
それより私達が目を目を向けるべきは、お金がないと言って増税を繰り返しながら放漫財政を続けるこの惨状。
我々の血と汗を零し続ける穴の開いたバケツこそが、この国を蝕む癌なのではないでしょうか?

⇒為替介入と米国債 世界一の貢物
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