インフレターゲット2%の達成と生温い為替相場の終わり
2018-01-14|経済を考える

毎年恒例でも安全とは限らない! ( ノД`)
2018年1月前半の円相場は、円高で終わりました。
ここ3年も「年末に上げて1月に下げる」状態が続いていたので、今年もアノマリー通りになりそうです。
例年通りだとすると、1月後半は少し持ち直すのかな?
黒田バズーカが発射されてからの相場を振り返ってみると、過去に例がないほどに為替相場・株式相場・国債相場が安定していた時期でした。
米大統領選のようなサプライズはありましたが、リーマンショックのような危機で大きく下げることもなく、あらゆる相場が堅調でした。
ドル円が下がっても、またすぐに戻す。
日経平均はもっと強くて、既にドル円との連動も切れている。
落ちたらすぐ上昇するので、トラリピ派にはたまらない好機だったでしょう。
年金が株を買ってくれるのが当たり前。
日銀が買い支えてくれるのが当たり前。
国債は買い占めて、金利を抑えてくれるのが当たり前。
物価上昇2%なんて起きるわけがない。

こんなムードが日本全体に漂っていますが、よくよく考えるとこれは異常な状況なんですよね。
元々異次元緩和は、デフレを克服するために行った特別な措置なはず。
いつまでも、株や国債を買い続けるわけにはいかない。
ゴールが設定されているのだから、目標を達成したなら出口戦略に向かわなければいけない。
1/9に日銀が国債買い入れの減額を発表した後、市場は大きく円高に動きました。
これはマーケットが異次元緩和の終わりを意識したからでしょう。
日本人はまだまだこの状態が続いていくと思っているけれど、永遠に続くことはありません。
「インフレターゲット2%まで緩和は続くから大丈夫」
「これまで何年も達成できていなかったのだから、これからも無理」
「庶民に金が回っていないのだから、物価が上がるわけがない」
なんて考えていませんか?
インフレなんてのは対外要因で突然やってくるものなので、これまで物価が上がらなかったかといって安心はできません。
海外の状況を見れば、存外早く物価目標を達成する可能性すらあります。
ここ1年で世界中の物資が高騰していますが、(仮想通貨を除けば)特に顕著なのは原油ですね。
40ドル近辺でうろうろしていた原油価格が、産油国の調整で一気に値上がりしています。

こう見ると第三次オイルショックとでも言いたくなる値上がりですが、世間ではあまり話題になっていません。
株やビットコインの暴騰で隠れているのか、以前100ドル超えていたからか、注目している人は少ないような気がします。
原油以外でも、銀やパラジウムなど、様々な貴金属が値上がりしています。
直接コアCPIには反映されないけれど、野菜や果物の上昇も顕著です。
キャベツ、ホウレンソウ、ブロッコリー、ハクサイといった葉物野菜が例年の倍額になっているせいで、兎賢者の家計が火の車になっています。
このままだとエセ賢者が骨と皮だけになりそうです。
この状況が続いても、インフレ率は上がらないのでしょうか?
日本は資源の殆どを輸入に頼っているので、海外の影響をもろに受けます。
ガソリンの値段が上がれば、輸送費用がかさんで全ての物価に影響します。
輸入品の影響はタイムラグがありますが、半年もすれば影響は顕著になるでしょう。
賃金上昇によるインフレーションでも、海外要因によるスタグフレーションでも、物価が上がったことには違いない。
念願の2%(その数字に何の意味があるのかは不明だが)が達成された時、日銀はどうするのでしょうか?
大喜びして、新総裁の胴上げでもするんですかね。
物価目標が達成できたからといってすぐに金融緩和が打ち切られることはないようですが、インフレが進むようなら日銀は引き締めに動かなくてはなりません。
物価の安定が中央銀行の役割ですから。
少なくとも、市場参加者の心理に出口戦略の懸念が浮かぶことは間違いないでしょう。
マーケットがどういう反応をするかはその時にならないとわかりませんが、今までのように穏やかな相場が続くことはないでしょう。
いつまでも目標が達成できないのも問題ですが、達成したらしたで、さらなる難局に立ち向かうことになりそうです。

↑その頃には辞任してるから関係ない人
⇒コアCPI インフレターゲットと現実の矛盾
⇒マネーサプライ お金があり余る世界で、デフレが進行する理由
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