神と交信するチャネラーはなぜ競馬やFXで勝てないのか

これはいい馬だ。
最近友人がチャネリングで競馬を当てようとしていたので、アドバイスついでに競馬で勝つ方法について話してみたいと思います。
チャネリングの相手が神でも悪魔でも宇宙人でも未来人でも競馬場の飲んだくれ親父でも、よく当たる予想さえあれば競馬では勝てそうな気がします。
しかし、その考えは絶対に間違いです。
ただ的中率が高いだけでは、絶対に稼ぐことはできません。
世の中には競馬で4億円も競馬で稼いで脱税で捕まった人もいますが、超常的な存在と通じて事前に結果を知っていたわけではありません。
確かな手順を通じてギャンブルを投資に変え、長期的に利益を上げてきたのです。

なぜ勝ち馬を当てるだけでは勝てないかというと、賭け事には期待値が存在するからです。
勝率だけ良くても期待値が低ければ、どんどんお金は減っていきます。
例えば、神様の啓示を受けて、80%の確率で単勝を当てられたとしまししょう。
神仏なら100%当てられて当然かもしれませんが、それを受信するのが人間である以上、間違いはつきものです。
神様かと思ったら、ネコだったという場合もあります。

皆が別々の馬に賭けてくれればいいのですが、競馬場の人々も素人ばかりではありません。
過去のデータや馬の体格から、どの馬が勝つか当たりを付けているでしょう。
当然勝率の高い馬ほど人気になり、オッズは低下します。
貴方が賭けた馬には多くの人々が乗っかり、一番人気になりました。
誰もがその名馬に賭けたせいで、オッズは1.2倍になってしまいました。
勝率とオッズから、掛け金に対して回収率を計算してみましょう。
80%×1.2倍=0.96倍
おや、回収率が1倍を下回ってしまいましたね。
1000円に対して960円しか返ってこないので、期待値は-40円です。
これでは、やればやるほど損をします。
一方、勝率20%でオッズ6倍の大穴だったら、どうでしょうか?
20%×6倍=1.2倍
今度は1倍より大きくなりました。
1000円賭ければ1200円返ってくるので、期待値は200円です。
全額賭けて外れたら終わりですが、十分な資金管理をすればかなり儲かりますね。
勝率80%の素晴らしい馬に賭けて、損をする。
勝率20%のダメな馬に賭けて、得をする。
一般人の感性からすると変な感じもしますが、投機の世界ではこういった現象が頻繁に起こります。

もちろん競馬は払い戻し率75%のギャンブルなので、いつも回収率が高い選択肢があるとは限りません。
レースの度に過去の履歴からそれぞれの馬の勝率を出し、その際のオッズと合わせて期待値を計算する必要があります。
複勝、応援馬券、枠連、馬連、馬単、ワイドなどになれば、勝率を導くのは極めて困難になるでしょう。
十分に検討した結果、期待値の良い選択肢がないのであれば、チャレンジしてはいけません。
賭けるにしても投資金は破産確率を考慮した上で抑え、大数の法則が作用するだけの試行回数をこなさなければなりません。
4億円稼いだ方がどのような理論で勝利したのかは知りませんが、裁判で外れ券を経費として認める要求から、毎回的中させたというわけではないと判断されます。
おそらくは各馬のデータとオッズを専用のソフトに入力して、トータルで勝てる戦略を作ったのでしょう。
競馬は「勝ち馬を予想するゲーム」ではありません。
「勝率とオッズから期待値を計算し、プラスの時だけ賭けるゲーム」です。
それを理解していなければ、どんなに先見性を持った猫であっても負けます。

期待値が重要なのは、何も競馬や競輪、ボートレースに限った話ではありません。
株式投資やFX、オプションなど、ありとあらゆる投資における共通の原理です。
誰もが欲しがる有名企業の株は既に割高で、上昇の余地は限られているでしょう。
競馬で買い手が多すぎるが故にオッズが下がっている馬と同じことです。
ベンチャーや低位株の中には大きな上値余地を持つ物も少なくないけれど、その分だけ倒産や暴落の確率も高くなっています。
FXで勝率90%の手法を使っても、プロフィットファクターが低ければ意味がありません。
9回10pipsを取ったところで、残りの1回で100pips負けたら損失が出ます。
いわゆるコツコツドカンですね。
投資(あるいは投機)の目的は未来のお金を今より増やすことであって、白星を黒星より多くすることではありません。
他が全て負けでもたった一度の大金星で逆転することもあるし、その逆もあります。
勝ち負けに拘るのは人間の性ですが、トレーダーが成功するためには、それを超えていかなければなりません。

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