コインチェックNEM流出事件の補償金は本当に払われるのか?


カイジで見たような・・・?
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580億円分のNEMが盗難されたハッキング事件に対して、コインチェックが方針を発表しました。
時期は未定ですが、自己資金で補償するとのことです。
<不正に送金された仮想通貨NEMの保有者に対する補償方針について>
コインチェック株式会社(代表取締役社長:和田晃一良、以下:当社)が運営する仮想通貨取引所サービス「Coincheck」において発生した仮想通貨NEMの不正送金に伴い、対象となる約26万人のNEMの保有者に対し、以下の通り、補償方針を決定いたしましたので、お知らせいたします。
1月26日に不正送金されたNEMの補償について
http://corporate.coincheck.com/2018/01/28/30.html
総額 : 5億2300万XEM
保有者数 : 約26万人
補償方法 : NEMの保有者全員に、日本円でコインチェックウォレットに返金いたします。
算出方法 : NEMの取扱高が国内外含め最も多いテックビューロ株式会社の運営する仮想通貨取引所ZaifのXEM/JPY (NEM/JPY)を参考にし、出来高の加重平均を使って価格を算出いたします。算出期間は、CoincheckにおけるNEMの売買停止時から本リリース時までの加重平均の価格で、JPYにて返金いたします。
算出期間 : 売買停止時(2018/01/26 12:09 日本時間)〜本リリース配信時(2018/01/27 23:00 日本時間)
補償金額 : 88.549円×保有数
補償時期等 : 補償時期や手続きの方法に関しましては、現在検討中です。なお、返金原資については自己資金より実施させていただきます。
このまま全資金が消滅する可能性もあっただけに、コインチェックユーザーは喜んでいます。
しかし、エセ賢者としてはこの補償が速やかに行われるのか、疑問に思っています。
補償すると言いながら、価格は盗難時より安い88.549円。
誰がどうやって盗んだのか、追跡はどうなっているのか、説明がない。
460億ペリカならともかく、資本金9200万円の企業に460億円も払えるのか。
なにより、補償時期について記載されていない。
お金は払うと言いながら、その期限を明示しない。
なんとなく、カイジの利根川先生を思い出しますね。
この利根川幸雄 こと金に限り虚偽は一切言わぬ
出す・・・・・・!出すが・・・・・・今回 まだその時と場所の指定まではしていない
そのことをどうか諸君らも思い出していただきたい
つまり・・・・我々がその気になれば、金の受け渡しは10年20年後ということも可能だろう・・・・・・・・・・
ということ・・・・!

和田社長はカイジが好きらしいですが、まさかそんな真似までしないでしょう。
コインチェックは帝愛と違って、まともな企業だし!
(多分)
しかしながら、資本金の500倍もの補償をあっさり発表したのは気になりますね。
いったいどういう意図で、こんな発表をしたのでしょうか?
仮説① コインチェックには500億円を超える資産がある
仮説② NEM財団の追跡により、盗難されたNEMを取り戻す公算がある
仮説③ 補償できる算段はないが、事態の収拾のために補償を約束した
仮説④ CMに出演した出川哲郎に全額弁償させる

仮説① コインチェックには500億園を超える資産がある
コインチェックは、
「顧客への補償は会社が持っている現金などで対応し、めどはついている」
と発言しており、それが事実なら全額弁済するのは可能です。
しかし、いくら手数料で稼いでいたとしても、2014年に設立された中小企業にそんな自己資金があるのでしょうか?
現金ではなく、仮想通貨で資産を持っているありそうな話です。
暗号通貨はここ数年で10倍、アルトコインであれば数百倍に跳ね上がった物もあります。
会社、あるいは社長個人でも値上がりしたコインを保有していれば、時価で500億円を超える資産を保有していても不思議ではありません。
出資者に全額弁済しても余る資金があれば、支払いに応じるのは当然ですね。
しかし、500億円を超える暗号通貨があっても、それはあくまで時価です。
ビットコインでも大量に売れば値下がりは必至で、マイナー通貨であればそれはさらに顕著になります。
一度に換金すれば大きく毀損してしまうから、少しずつ換金するための時間が必要。
そのために補償時期を未定にして、時間を稼いでいるのかもしれません。

仮説② NEM財団の追跡により、盗難されたNEMを取り戻す公算がある
現在コインチェックとNEM財団が、不正送金された暗号通貨の送信履歴を調べているそうです。
解析が成功すれば、奪われたNEMを無効にし、取り戻すことも可能かもしれません。
しかし、技術の上で盗難されたコインを無効化できたとして、それを元の所有者に戻すことは許されるのでしょうか?
日本の法律では泥棒が盗んだお金を使った場合、そのお金を被害者に返すことはできません。
貴方の財布の1万円が盗まれて、泥棒賢者の借金返済に充てられたとしたら、返済を受けた銀行にその1万円を返す義務は生じません。
クラッカーが盗んだNEMをそのまま持っていればいいけれど、ネットワーク上で即座に換金できる仮想通貨を手元に残しておく理由はありません。
既に分割して第三者に移譲されている場合、そっくりそのまま取り戻せるかは疑問です。
仮説③ 補償できる算段はないが、事態の収拾のために補償を約束した
最悪のケースですね。
かつてのGOX事件で、マウントゴックスは「全額を自己資金で返済可能です」と言いながら、それをしませんでした。
コインチェックに損害を補填する当てがなかったとしても、「補償はする」と断言しないといけません。
でなければ顧客の損害が確定し、即座に訴訟に発展するからです。
最悪信用不安が発生して、仮想通貨業界全体が沈没しかねません。
コインチェックが早期に補償を行うつもりなのか、
できるだけ引き延ばしたいと思っているのか、
倒産で帳消しにしたいと思っているのか、
私達顧客にはわかりません。
金融庁によると、コインチェックに支払い能力があるかは確認できなかったそうです。
具体的にいつ補償を行うのか、財務状況はどうなっているのか、追及していくしかありませんね。
仮説④ CMに出演した出川哲郎に全額弁償させる
誰も知らないはずの、
「ビットコインの取引はコインチェックが良い理由」
を知っている出川氏なら、500億くらいポケットマネーで出せるでしょう。
出川先生に任せれば、どんな問題も瞬時に解決です。
(大嘘)

仮説①か②であれば、時間はかかってもある程度の弁済はできるでしょう。
しかし、それでも問題は山積みです。
補償に十分な現金があるのかはわからない。
仮想通貨があったとしても、すぐに現金化できるかはわからない。
NEMを取り戻せるかもわからない。
仮に補償されたとしても、ハッキング前後より安い88.549円で計算した場合、投資家に差損が発生します。
その損失を理由に、コインチェックが訴えられる可能性もあります。
コインチェックは仮想通貨交換業者として申請中のみなし業者で、まだ金融庁に業者登録されていません。
さらに今回の件で行政処分を受ける可能性も高く、正式に登録されるまでのハードルは極めて高くなったと考えていいでしょう。
果たして、盗難事件の補償は約束通り行われるのか?
失った信頼は取り戻せるのか?
あるいは、某ギャンブル漫画の登場人物と同じ末路を辿ってしまうのか?
コインチェックの真摯な対応を期待します。

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