コインチェックの「ドア・イン・ザ・フェイス」に騙されるな!

これはお得だな!
⇒コインチェックNEM流出事件の補償金は本当に払われるのか?
の記事でコインチェックの補償が正常に行われるのか懸念を示しましたが、思った以上にあっさり補償金が支払われました。
補償金額は1XEMあたり88.549円で、3月12日に実施。
課税対象になるかは不明ですが、2018年に発生した事実をベースに支払うため、2017年分の確定申告には影響しないとのこと。
三好と前田・・・じゃなかった、和田社長と大塚雄介COOは筋を通したようです。
みんなのクレジットが返金したのは、集めたお金の3%。
コインチェックはなんと80%も返しています。
流石コインチェック。
なんて素晴らしい対応でしょうか。
猫賢者もみんクレじゃなくて、コインチェックでネムを買えばよかった。
・・・なんて言うと思ったか!

仮に貴方の銀行預金が100万円あったとして、そのうちの20万円が盗まれたとしたらどうでしょうか?
「80万円残っていて良かったザマス!盗まれた20万円なんてどうでもいいザマス!」
ということで一件落着になるでしょうか?
明らかにおかしい話なのですが、どういうわけかこれを喜ぶ人がいます。
コインチェックは盗難時のNEM価格で補償をしていないので、顧客資産は当時より減っています。
また、長時間資産を拘束していたため、顧客に機会損失を与えています。
さらに取引が再開した仮想通貨も一部だけで、リスク(LISK)、ファクトム(FCT)、オーガー(REP)、モネロ(XMR)、ダッシュ(DASH)、ジーキャッシュ(ZEC)といった匿名性の高い通貨は今も凍結されたままです。
そもそもネムを盗んだ犯人すら特定されていないのに、8割を払って決着というのは、いくら何でも無理があります。
世間がコインチェックを非難しないのは補償されるNEMのレートが現在の価格より高いのもありますが、ドア・イン・ザ・フェイスという心理効果が働いているからだと思います。
ドアインザフェイスというのは、最初に断られる前提で大きな要求をして、その後で本当の目的である小さな要求をするというテクニックです。
例えば彼氏に「1万円分のバック」を買ってもらいたい彼女がいたとしましょう。
いきなり1万円のバッグをねだっても、断られる可能性が高い。
そこで、あえて隣にある「10万円のバッグ」をねだります。
当然断られますが、彼氏に「要求を断った」という負い目を作れればOKです。
すかさず狙っていた1万円のバッグを提示すれば、あっさり買ってもらえる可能性が高いでしょう。
彼氏にとって1万円のバッグは安いわけではないが、10万円からすれば9万円もお得。
相手の要求に応えつつ9万円も出費を減らせるのだから、まさにwin-winです。
いや、客観的に見れば彼氏の一人負けですけどね。

コインチェックのネムはほぼ全額盗まれたのだから、顧客の口座も0XEM。
それ以外の暗号通貨や現金も出金不能になったので、全財産を失ったと考えた人が多いはず。
その状態で80%とはいえ補償が行われたら、和田社長が天使に見えるかもしれません。
しかし、それは「素行の悪い不良がたまに良いことをしたら注目される」ような美談であって、彼等が顧客のために最善を尽くしてくれたわけではありません。
そもそも補償金がどこから来たのかを考えると、とても喜べる事態ではないでしょう。
80%というのは心理的に大きく感じられる数字ですが、本来の資産である100%に比べれば20%少ないのは変わらない。
これが80%ではなく50%であったら、印象は全然違ったでしょうね。
みんなのクレジットもたった3%だけど、返金を行いました。
少しでも戻ってきてよかったと自分を慰めたくなりますが、そういう気持ちを利用して諦めさせる手口があることを忘れてはいけません。
彼等にとっては何%の返金だろうと、「ゼロよりマシ」と思わせればいいんですから。
ちなみに補償金で買い戻す人が多いのか、補償後にネムの価格が急上昇を見せています。
実質的に88.549円で売ってくれたものを40円台で買い戻せるということで、ここぞとばかりに買っているのでしょう。
盗難のあったコインチェックを再び利用するのはどうかと思いますが、過去のレートに回復するのを期待して他の会社(Zaifとか)でNEMを持っておくのはアリかもしれませんね。
今後集団訴訟を控え、業者としての正式登録が難しくなっても、コインチェックはまだ再起を諦めていないようです。
投資家も今回の補償金を元手に、次の投資に向かっているようです。
転んでもタダで起きないその根性だけは、見習うべきかもしれません。

最近出番がないので、本記事とは無関係なウサギ動画↓
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