後悔しない選択肢はないから、後悔しない生き方をしよう

何をしてもダメなのか・・・(;д;)
前回の記事:プロスペクト理論 後悔しない方法など存在しない
プロスペクト理論に支配された私達に、後悔しない選択肢はありません。
何かを選ぶということは、他の可能性を捨てるということ。
いかに熟慮を重ねたとしても、喪失の痛みからは逃れられないのです。

しかし、誰もが必ず後悔に苛まれた人生を送らなければならないかというと、そんなことは全然ありません。
選択の苦しみから逃れる方法はありませんが、その後に気楽に生きるテクニックぐらいならあるのですよ。
その方法はとても簡単。
別の選択肢を選んでいたら、今頃死んでいただろう。
と思い込むことです。

この道を選んだことで大怪我をしたが、別の道だったら完全に死んでいただろう。
FXで100万円損失を出したが、不動産のサブリース投資だったら1億円の借金を背負っていただろう。
会社で毎日説教されて辛いが、仕事がなければホームレスになっていただろう。
過去の選択を後悔しているのなら、そ例外の選択肢を徹底的に貶めてしまいましょう。
もしもの話なんてどうせ実在しないのだから、いくら酷い内容にしても問題はありません。
少なくとも、今こうしている私達は生きているし、悩みにふけるだけの余裕もあります。
病気や事故で亡くなった人々よりは、かなりマシなはずです。
最悪の想定と比較すれば、どんなに悲惨な状況も輝いて見えます。

今と少しでも違う行動を取っていたら、エセ賢者は今ごろ墓の下にいた。
最善の選択をして生き延びるという結果を出したのだから、何一つ後悔はない。
まぁ、
「そんなのデタラメな思い込みだ!」
と思うでしょう。
実際デタラメなので、その指摘は正しい。
しかし、自然界を見るとそのデタラメもそれなりに説得力があるように思えます。
なぜなら、動物というのは死んでいるのが当たり前だからです。

「マンボウは3億個の卵を産むけれど、生き残って大人になるのはたった2匹!」
という話を聞いたことはないでしょうか?
この数字はあまり正確ではないようですが、食物連鎖の下位に位置する野生動物ならどれも似たような状態になっています。
魚類や昆虫なら、卵から成体になる確率が1%以下であることも珍しくありません。
殆どの動物は成長過程で死滅し、過酷な生存競争を生き延びて子孫を残すのはほんの一握りです。
大抵の個体は病気に侵されるか、他の動物に食われて亡くなっています。
天寿を全うするのは、ほとんど奇跡みたいなものなのです。

もちろん、人間は他の動物に比べて極端に生存率の高い種族です。
けれど、それは親や社会や強力なサポートがあるからであって、放っておいても勝手に育つわけではありません。
実際発展途上国の子供は、毎秒のように亡くなっています。
たとえ進学に失敗しようと、会社をクビになろうと、生物全体としてみれば上位1%以上の大成果であることは変わりません。
なにせ動物は死んでいるのが当たり前、生きているのが奇跡なんですから。
我々がこの過酷な生存競争を勝ち抜いてこれたのは、ただの偶然ではありません。
もしも人生の選択肢をランダムに選び続けたのであれば、マンボウ以下の生存率になっていたでしょう。
死と隣り合わせの世界で生き延びてきたのは、間違いなく正解を選んできた証拠。
動物の本能は常に生存を最重視し、私達が思っている以上に正確な判断を下します。
仮に以下のような選択があったとしましょう。
①事業を始めて稼ぐ→1億円の利益
②ニートで毎日ダラダラ過ごす→0円の利益
金銭的には前者のほうが得なので、もちろん後者を選んだニート賢者は後悔します。
しかし、生物の本能は何か別の理由があって選択をしたのかもしれません。
①事業を始めて稼ぐ→1億円の利益 (でも強盗に包丁で刺されて死ぬ)
②ニートで毎日ダラダラ過ごす→0円の利益 (安全な生活なので大丈夫)
この複雑な世の中では、何が死因になるかはわかりません。
私達は金銭的な損得しか考えないけれど、潜在意識は敏感に危険を察知して、一見不利に見える選択をさせたとも考えられます。
欠点だけを見て勝手に間違いだと考える私達のほうが、実は間違っているのかもしれませんね。

プロスペクト理論の性質がある限り、どんなに注意しても全く後悔のない選択をすることは不可能です。
けれど、過去の判断が正しかったと思い込むのはとても簡単。
そして何よりも、この瞬間に生存しているという奇跡的な事実が、それを最大限に肯定してくれます。
貴方がこれから処刑台に向かう死刑囚でもない限りは、これまでの人生を否定する理由など一つもありません。
だから、胸を張ってください。
「私は正しい選択をした」
「これからも正しい選択を続けていく」
そう信じることで、私達は今日も生きていくことができます。

⇒何が正しかったのかは、百年後の世界が知ればいい