偽物には価値がある

偽物な時点で完璧じゃないよね!? ( ノД`)
エセ賢者はエセなので、本物の賢者ではありません。
エセトレーダーなので、本物のトレーダーほどトレードが上手ではありません。
エセ猫なので、本物のヌコほど可愛くもありません。
偽物には、本物のような価値はありません。
世界の頂点に立つためには、確かな実力の伴った本物でなくてはいけません。

これは正しい話ですが、微妙に誤解を招きやすい部分があるので、注意したい点があります。
それは偽物にも価値があるということです。
当然ですが、偽物の値打ちは本物よりもずっと低い。
けれど、それは決して無価値ではありません。
・エルメスのバッグと類似品のバッグ
・ゴッホの絵画と贋作の絵画
・天然のうなぎと養殖のうなぎ
・天然ダイアモンドと人工ダイアモンド
・プライベートブランドの医薬品とジェネリック医薬品
・国内産の牛肉と国内で加工しただけの牛肉
いずれも前者の方が希少で、使用価値や交換価値が大きいのは明らかです。
しかし、後者も普通に値段が付いて、市場で販売されています。
当然値段は安いけれど、社会の需要は確実に存在するわけです。

性能や味、出来栄えを比較すれば、一流品の方が上に決まっています。
全く同じ値段であれば、皆質の良いほうを選ぶでしょう。
しかし、全ての人が高級品を買えるほど裕福なわけでもない。
人もモノも数に限りがあるのなら、安価な二流品や三流品にも出番が回ってくるのは当然です。
むしろ低コストで大量に供給できるコピー品のほうが、社会に対する貢献度は高いかもしれません。
世の中にはコンビニやファーストフード店など、トップを模倣したサービス業が溢れていますしね。
コピーはオリジナルではないけれど、オリジナルに近い性質を持っているのは間違いありません。
たとえ劣化でもオリジナルの良い点を受け継いでいるのなら、利用者にとっては有益になるでしょう。
少なくともパイオニアを真似てすらいない、独創的なだけの素人の作品よりは上質です。
いつもベンチに座っている二軍の野球選手は、一軍ほど能力は高くないでしょう。
しかし、ド素人の私達や、草野球のおっさんよりは遥かに野球が上手いのは間違いない。
養殖の魚は天然ものより希少性はないけれど、味や栄養にはそこまで大きな差がありません。
人工の宝石には希少性がありませんが、工業用や装飾用としてはきちんと機能します。
その辺に転がっている石ころと比べれば、人為的に作った安物のほうが遥かに価値が高いのです。

私達は常に本物になろうと努力するべきですが、それは「偽物を排除しろ」ということではありません。
時に知的財産のような社会的制度を利用して類似品を徹底的に弾圧しようとする人がいますが、そんなことをしても貴方自身の成長には全くつながりません。
他人と違う生き方に希望を感じて敢えてアウトローな方向に進む人もいますが、それも茨の道です。
本物になる目的は自身や作品の価値を高めて社会に貢献することであって、オンリーワンだけが取り柄の俗物になることではありません。
SMAPがいくら「世界に一つだけの花」を歌っても、道路に生えている雑草の花にお金を払ってくれる人はいませんよね?
もちろん、自分のやり方で市場を開拓し、パイオニアとなれるならそれが一番良い。
貴方が新しい可能性を見つけ、全ての偽物を駆逐してくれることを、エセ賢者は心から応援します。
しかし、それができないのであれば、敢え模倣の道を進むのもいいでしょう。
トレーダーでもビジネスマンでも、「この人いいな」と思ったらどんどん真似をして、良い部分を取り入れてください。
中途半端にオリジナリティを出すぐらいなら、全力でモノマネ芸人やった方が間違いなく儲かりますよ。
世間でもてはやされているものには、必ずヒットする理由があります。
それを吸収して自身のビジネスに活かすのであれば、先駆者ほどではないにせよ、それなりの成果を上げられるはずです。
大事なのは、他者から学び、本物になろうとする意志。
社会のニーズを無視したり、オンリーワンに甘えることではありません。

⇒タダより安い物はない 前編