豊田商事詐欺事件はどうやって122億円を取り戻したのか？

本当に恐ろしいのは人間だった・・・(´；ω；｀)

近年みんなのクレジット(スカイキャピタル)、コインチェック、ラッキーバンク、ｍａｎｅｏマーケット、各種ICO詐欺など様々な金融業者でトラブルが発生ています。
多くの場合不適切なお金の流れが発覚し、みんなのクレジットのように30億円もの損失が発生して事例もあります。

こうした事件に対して、私達投資家はどう対応したらいいのか？
どうすれば投資金を取り戻すことができるのか？
日本市場最悪の詐欺事件と言われる豊田商事事件から、その解決方法を探ってみましょう。

貴方は豊田商事の詐欺事件をご存じでしょうか？
1985年の話なので、若い方はご存じないかもしれませんね。
あるいは、「会長が刺殺された事件」として名前ぐらいは知っているかもしれません。



永野社長を殺害した犯人は、飯田篤郎と矢野正計の二人。
マスコミが取り囲むマンションに侵入し、ワイドショーで生中継された中でメッタ刺しにしました。
3万人の生活を狂わせた経営者に同情の余地はありませんが、なんとも痛ましい事件でした。

エセ賢者は別に「詐欺師は駆除しろ！」と言っているわけではありません。
注目すべきなのはそこではなく、被害者達がその後に122億円を回収したことです。

豊田商事が行ったのは、金の購入・運用に見せかけた詐欺。
客はゴールドの代わりに『純金ファミリー契約証券』を購入し、年率10%の利息を受け取る契約になっていました。

実際は金の購入も運用もしていないので、運用益は当然ゼロ。
新規顧客のお金を分配に回す、いわゆる自転車操業、ポンジスキームでした。

会社破綻後に破産管財人(中坊公平弁護士)は全国の支店を捜索したが、見つかったお金はまるでなし。
豊田商事が顧客から集めたお金を全て使い込んでいたからです。

・社員の給料
・穀物の先物取引
・不動産投資
・ゴルフ場開発

といった用途で2000億円が浪費され、顧客に返還できるお金は殆どなかったそうです。
なんでも、豊田商事の社員は大半が年収1億円以上だったとか。
給与だけで600億円が使われていたそうです。

会社にお金が残っていないのに、なぜ回収できたのか？
それは弁護士と被害者が一丸になって、返金活動を行ったからです。



中坊弁護士が注目したのは、国税庁と豊田商事の取引先企業。

豊田商事は社員に高額の給料を支払っていたので、当然国税庁は多額の所得税を徴収していました。
正当な給与であればそれを取り上げることはできませんが、それが詐欺であると立証できれば話は別。
弁護士と被害者達は国税庁にかけあい、「詐欺による収入は無効である」として既に納められていた税金の返還を求めました。

また、豊田商事と取引をしていた会社がなんと40社以上もありました。
中坊弁護士はそれらの企業に対しても、不当な取引で得た利益の返還を求めました。

その結果として返金されたのは、総額122億円。
被害額の1割強ではありますが、被害者にはお金が戻りました。

本件から学べることは、以下の三つ。

詐欺によって行われた取引は無効であること。
たとえ使い込まれてお金が一切残っていなかったとしても税務署や関連会社から回収できる可能性があるため、お金の流れを精査しなければならないこと。
そのためには弁護士や警察や裁判所の協力、そして何よりも被害者自身の行動が必要不可欠であること。

どんなに絶望的な状況でも、騙し取られたお金は必ず取り返せます。
犯罪者は、必ず人の手で裁きを受けさせなければなりません。
そのことをどこかのソーシャルレンディングの被害者団の会と元社長にも伝えたいと思います。



本記事とは無関係ですが、猫賢者はみんなのクレジット(スカイキャピタル)の刑事告訴を進めるアセットカフェを応援しています。
ええ、もちろん全くの無関係ですよ。

⇒アセットカフェ分科会:「みんなのクレジット/スカイキャピタル」について