EU離脱が決まってもブレグジット問題が一向に解決しないのはなぜか?

追い出された! (;д;)
2019年に入っても相場は不安定で、特にイギリスとEUの交渉が行われる度にポンドは乱高下しています。
流石ポン様、殺人通貨の異名は健在です。
「既にEU離脱は決まってるんだからいい加減にしてよ!
エセ賢者のライフはとっくにゼロよ!」
と思うのですが、実際には全く安定してくれません。
なぜ国民投票で決着が付いたはずなのに、相場はこんなに揺れるのでしょうか?
その原因は人間が持つ不満解決のプロセスにあると思います。
イギリスが欧州連合を離脱しようとした理由は、EUにいることでデメリットがあるからですね。
・自国の税金が他国のために使われてしまう
・ビザなしで他国の国民が入ってくる
・貧しい国の国民に自国民の仕事が奪われてしまう
・EUの法律によって事業が規制を受ける
一番の理由は移民がガンガン入ってきたことでしょう。
ルーマニアやスロバキアの労働者に仕事が取られて、公共料金や社会保障費の負担まで増えてしまう。
日本も外国人の健康保険加入条件を緩和してから、膨大な医療費が外国人の治療に費やされるようになりました。
安倍政権は海外からの移民(政府は移民ではないと言っているが)を大量に増やし、治安を悪化させています。
自国民が汗水垂らして稼いだ金が外国人のために使われるとしたら、嫌になる気持ちもよくわかります。
なんとかしようにもEUの立法機関は外国にあるので、どうすることもできませんし。

そう考えると英国民がEUから出て行こうとするのは当たり前。
重い荷物は切り捨てて、さっさと自由になればいい。
しかし、現実には脱退を撤回や延期、あるいは条件を変更しようとする動きが出てきています。
要するに今度はEUを離脱したくないと言い始めたのです。
なぜ考えを変えたかといえば、EU加入国のメリットを思い出したからです。
・EU内で自由に商売ができる
・ビザやパスポートなしで好きな国に移動できる
・軍事同盟による国が守られる
・輸出入の関税がない
・北アイルランド領とアイルランドの国境がフリーですむ
おそらくEUを離脱すれば、イギリスはEUナンバーワンの金融立国の地位を失います。
わざわざ出入りが不自由な島国に拠点を設ける必要はないので、ドイツかフランスあたりが金融の中心になるでしょう。
ロンドン市場がフランクフルト市場に取って替わられ、誰もイギリスには見向きもしなくなるかもしれません。
関税もかけられ、商売もしにくくなります。
実際に日産自動車は英国工場の計画を撤回し、多くの企業が去りました。
外国人移民がいなくなっても、仕事自体が減ったら意味ないですよね。
島を分断される北アイルランドがイギリスから独立する可能性すらあります。
常任理事国の一つで世界でも有数の市場を抱える先進国も、EUの後ろ盾を失うことで大きく国力を削がれることになるでしょう。
残留と離脱のメリット・デメリットを比較すると、おそらく離脱した方が損です。
巨大な経済圏から離れることは、あまりにも損失が大きい。
東京がいくら裕福で地方に交付金を送っていくといっても、東京だけ切り離して同じ収益を上げられるわけではない。
客観的に見るなら、今からでもトゥスク首脳会議常任議長に謝って元の鞘に収まった方がいい。

損得勘定で残留したほうが賢明なら、なぜ国民投票は離脱派が勝利したのでしょうか?
それは人間がまず不満を見る動物だからです。
レストランの料理に髪の毛が一本入っていたら、嫌な気分になって店員にクレームを入れるでしょう。
たとえそれがどんなに素晴らしい味であったとしても、貴方は髪の毛しか見ない。
親が子供に理不尽な説教したら、子供は親を憎むでしょう。
たとえ親がその身を削って多大な生活費と教育費を捻出していたとしても、子供はそれを考えない。
人は最初からメリットとデメリットを合わせて総合的に判断するようにはなっていません。
デメリットに気付くのはそれを失ってから、あるいは失いそうになってからです。
レストランが潰れて何も食べる物がなくなれば、少々の問題は見逃しても食べさせてもらった方が良かったと気付きます。
親がいなくなって一人で生計を立てるようになれば、口うるさくても面倒を見てくれる親の有難味がわかります。
決断が終わってからやっと、私達はプラスとマイナスの比較を始められるわけです。

国民投票の時は不満しか見ていなかった離脱派も、いよいよ離脱が近づいたことで残留のメリットに気付きました。
そして「もう一度考え直した方がいいんじゃないか?」と思ったから、現在のような混乱が生じています。
イギリス国民が優柔不断なのではなく、これが不満を抱えた人間が妥協点を見出すプロセスなのです。
ニート賢者は利点・欠点が出そろった所で再度国民投票をやった方がいいと思いますが、国家が一度決めたことを覆すのは大変でしょう。
個人なら撤回もできるでしょうが、国という単位は大きすぎる。
結局、行くところまで行ってから後悔するんでしょうね。
人間はとにかく欠点に注目してそれをなくそうとする生き物です。
不満は現状を改善する非常に有用なエネルギーですが、視野が狭くなってせっかく受けている恩恵も失ってしまうこともあります。
何かを変えようとするときは後になって後悔しないように、
「見落としているメリットはないだろうか?総合的に見て本当に得だろうか?」
と自問自答してみることをお勧めします。

⇒イギリスEU離脱予想とポンド下落に伴うFX売買方針
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