係留規則 インフレ目標2%をたやすく達成する驚異の裏技!
2019-04-10|経済を考える

報道するからさらに離れていのでは・・・
何年経っても一向に達成できないインフレターゲット2%ですが、実は簡単に達成してしまう方法があります。
しかも費用はゼロで、時間もかからない。
新しい法律を作る必要もなければ、諸外国の力を借りる必要もない。
その方法は実に簡単。
インフレ目標を20%にすること。
目標が2%だからそれ以下の結果しか出ない。
目標を20%にすれば、2%ぐらい軽く超えるでしょう。
もちろんデフレは需要減少の結果でしかない。
本質的な問題である少子化を無視してインフレさせたところで、国民が貧しくなるだけなのですが。

「20%なんてどこのブラック企業の目標設定だよ!」
と怒られそうですが、この思い込みの力は想像以上に大きい。
人間の思考や認知は、あらかじめ示された数字や条件によって大きく左右されます。
これは係留規則(アンカリング)と呼ばれる人間の同調的性質です。
(詳しくはダン・ガードナー氏の著書を参照)
抽象的な表現だけではわかりにくいので、具体例を見てみましょう。
①野良犬の殺処分を減らすために募金を募っています。
一人当たり100円を寄付すれば、殺処分がゼロになります。
いくらでもいいので寄付をお願いします。
②野良犬の殺処分を減らすために募金を募っています。
一人当たり1万円を寄付すれば、殺処分がゼロになります。
いくらでもいいので寄付をお願いします。

この二つは、要求していること自体は同じです。
「金額は好きに決めていいので募金してください」
と言っているだけ。
しかし、実際にこの内容で広告を出すと、間違いなく②の方が資金が集まります。
なぜなら、100円や1万円といった基準値が思考を操作するからです。
元々500円を寄付するつもりだった人は、100円という数字を見て300円ぐらいに落とすかもしれません。
逆に1万円を見たら、1000円ぐらいに上げるかもしれません。
寄付の能力や善意は人それぞれではあれど、総じて金額は提示された方に引っ張られてしまいます。
これを上手く利用すると、商売の売り上げを何倍にも増加させることができます。
例えば、スーパーで非常食のカンパンでも売るとしましょう。
、「災害に備えて非常食を一家に1個常備しましょう!」
だと、各家庭に一個ずつしか売れません。
そこで、「最低でも一週間分の備蓄が必須!7個ずつ常備しましょう!」に替えてみます。
すると、購入数が7という数字に引っ張られて増加します。
1個の時より明らかに売り上げが伸びるでしょう。
実際多くの営業マンはわざと大きな金額を提示することで、顧客の思考を操っています。
「一口500円から投資できますよ」より「みなさま平均で100万円ほど投資されています」の方が銀行員の口説き文句としては優秀。
あらかじめ割高な金額を指定した後に通常料金を提示して、あたかも割引させたように見せかける手口もあります。

実際に日本政府が「インフレ率20%を目指します!」と言ったところで、大半の日本人は信じないでしょう。
しかし、頭では否定しても腹は「20%を目指すなら5%~10%ぐらいあり得るんじゃないか?」と勝手に判断を上昇修正してしまいます。
20%が突飛すぎるなら、10%や5%でもいい。
インフレ懸念が日本全体に行き渡れば、2%を目標にした時よりも上昇圧力がかかるのは間違いありません。
もちろん、新しい目標が達成できないので政府が嘘つきなのは変わらないのですが。
出生率だって操作できるかもしれません。
もしデータを改竄して「日本人女性の合計特殊出生率は2.5」と発表すれば、女性は「みんなそんなに子供を産んでいるんだな」と認識し、沢山の子供を産む方に誘導されるでしょう。
もちろん人口統計はバレやすい嘘なので実際には使えませんか、世界の出生率を高めに見積もってテレビでしつこく流せば効果はあるでしょう。
このように係留規則を用いて人間心理を誘導すればいともたやすく数字はコントロールできるのですが、よくよく考えてみると恐ろしいことに気付きます。
数字によって大衆が扇動できるのを、為政者が知らないはずがない。
だって彼等は常にテレビや新聞を使って情報を流し、国民の認識を操作しているのだから。
政府がインフレ率2%を提示すれば、現実の消費者もそれに近づくように動いてしまう。
元が0%であるなら、だいたい1%付近で落ち着く可能性が高い。
官僚がそれをわかっていて設定したとすれば、2%に到達すること自体は目的ではない。
つまりアベノミクスは2%に達成することがゴールではなく、2%に近づきつつも達成できない状況が続けばそれでいいのではないか?
そう考えると、いつまで経っても目標に辿り着かないのに日本政府が方針を転換しないのが腑に落ちる気がします。
そもそも2%という数字には何の根拠もないし、達成したところでご褒美もらえるわけでもないのだし。
インフレターゲットだの異次元緩和だのトリクルダウンだの、大層な言葉を使って国民感情を煽ればきっとそれでいいのでしょう。

係留規則は政治の世界だけではなく、世界中のあらゆる場所で盛んに使われています。
特に最近はマスメディアやSNSでこれでもかと悪用され、民衆を洗脳しています。
「100万人の変質者が貴方の子供を狙っている!」と報道すれば、親は皆警戒して警備会社や防犯グッズの売り上げが伸びるでしょう。
実際に変質者がいたとして、人数なんてわかるはずもありませんが。
「100万人の若者や子供が癌で亡くなっている!」と伝えれば、病院や医薬品業界は潤うでしょう。
実際に癌で亡くなってる人の大半は高齢者のはずですが。
「100万人の在日犯罪者が存在する!」とツイッター書き込むだけで、日本中に凶悪な在日韓国人がいるようなイメージを作り出すことができます。
最近韓国人俳優の事件が盛んに報道されるのも、日韓関係を悪化させる手段の一つかもしれません。
我々FXトレーダーも口座にお金を入れすぎるとそれにつられてポジションを増やしてしまうし、売買の基本単位が高い業者を使うと取引枚数が10倍になっていたりします。
自分では気づかないけれど、私達の判断は常に周囲の数字に影響されているのです。
情報化社会は、どこもかしこも数字が氾濫しています。
怪しい数字や過度な誇張表現を見かけたら、そこには何を操作する意図があるのか考えてみましょう。

使いようによっては莫大な利益を生む係留規則については、ダン・ガードナーの著書「リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理
エセ賢者の1000倍はためになる本なので、ぜひご一読ください。
(もちろんこの数字も係留規則)