みんなのクレジット事件の真相⑤ 3分で作った被害者の会
2019-09-10|役立つレビュー・紹介

もう祈ってる場合じゃない・・・
前の話⇒みんなのクレジット事件の真相④ 絶望の行政処分ともう一つの賭け
行政処分が決まった直後に、大慌てで金融庁に電話。
「投資家保護を考慮した処分をしてほしい」と懇願したが、全く安心はできない。
役所は何かあったら処罰するだけで、被害者の救済は何もしてくれないのだから。
結局みんクレは業務停止1ヶ月というごく軽い処分になっただけで、詐欺や横領とも取れる行為をしたというのになんら刑事罰を受けることはなかった。
やはり頼れるのは法律の専門家である弁護士。
昔とある事件でお世話になったS弁護士に、エセ賢者は事の次第を報告した。
こんなわかりやすい手口に引っかかったので内心は呆れていたのかもしれないが、先生はすんなり相談に乗ってくれた。
投資詐欺としては典型的なので、どういう流れになるかはすぐにわかった。
だが、それでもすんなり民事訴訟を提起して資金の返還を請求することはできない。
企業を相手どって裁判を起こすとしたら、莫大な費用と手間がかかる。
みんクレは何故か会員数を公表していないのでよくわからないが、総額45億円なら少なくとも1000人は超えているはず。
たった2千万の投資額しかない個人でどうにかなる話ではない。
そこで、私はこういった詐欺事件にはつきものの被害者の会を作ることにした。

裁判をするにせよ交渉するにせよ、仲間がいるに越したことはない。
猫が一匹いても何にもならないが、仲間をたくさん集めれば良い知恵も浮かぶかもしれない。
被害者の会を作るのには何が必要か?
何も必要ない。
土地もいらない。
建物もいらない。
金もいらない。
敢えて言うなら、意思だけが必要。
作業もカップラーメンを作るより簡単だ。
ここにブログがあるのだから、
「みんなのクレジット出資者を救済するために、被害者の会を設立しました」
と宣言するだけでいい。
法人も組織も所詮は幻想で、人の頭の中にしかない。
インターネット上であると言えば、そこには組織が存在することになる。
ちょこっとキーボードを打って記事を公開すれば、あっという間に被害者の会の出来上がりだ。
当時の記録⇒みんなのクレジット被害者の会 集団訴訟参加者募集
もちろん、それだけでは何の活動もできない。
だから意見交換の場も用意した。
ネット上では2ちゃんねる(5ch)をはじめとして多数の掲示板やチャットサービスが存在する。
馴染みの5chに似たタイプでかつ会員制の掲示板を一つ借りて、自由に書き込めるスレッドを作成。
あとはブログを見に来た投資家をそこに誘導すれば議論ができる。
料金はゼロ。
時間も1日足らずで全部で終わった。
組織を作るには何かと手間がかかりそうなイメージがあるが、法手続きが必要なものを除けばどうということもない。
放っておけばどんどん資金は逃げていくのだから、他人や行政機関が動いてくれるのを悠長に待っているわけにはいかない。
大事なのは他人任せにせず、自分から行動すること。
必要なのは一瞬の閃きと行動する意思。

ゴミのようなエセブログの閲覧者などろくにいないと思っていたが、クチコミで広まったのかどんどん会員は増えていった。
参加した被害者はあっという間に10人、20人と増え、じきに50人の大台に上った。
行政処分を受けて不安になった投資家は非常に多かったらしい。
そして集まった私達は情報交換し、今後の活動を話し合った。
金融庁などの公共機関に通報してはどうか。
マスコミに取り上げてもらえないか。
集団訴訟をするならどの弁護士事務所がいいのか。
金融ADRや少額訴訟などの制度は使えないか。
ただ、そういった活動も決して順風満帆に進んだわけではなかった。
一口に被害者といっても、それぞれの事情は様々。
金額が2000万円の人、500万円の人、10万円の人では、同じ被害者といっても全然取るべき行動が違う。

裁判してでも取り戻そうとする人もいれば、投資金より訴訟コストの方が高くて参加できない人もいれば、とにかく社会的な罰を受けさせたいという人もいた。
(実はスパイのような人もいた)
結果的にいくつかの派閥に分かれ、会として一貫した活動ができなかったのは私の落ち度だ。
投資金額や希望に合わせて入会条件をあらかじめ絞っておくべきだったかもしれないが、それをすれば多くの被害者を見捨てることになるので、未だにどうするべきだったかはよくわからない。
まぁ、どちみちエセ賢者に完璧な運営は不可能だ。
方針の杜撰さはともかく、被害者が集まれば事態は勝手に動く。
投資金が大きくて何としても取り戻したい人は集団訴訟へ。
個人でやりたい人は地元の弁護士や有名事務所へ。
金額が少なくてコストが合わない人、裁判で回収は難しいと思う人、判断を保留する人はそのまま償還を待つ。
それぞれが自分の意思で道を選ぶことになった。
そしてそんなバラバラな活動が続くうちに、一つの転機が訪れた。
後に多大な活躍をするとある方に出会ったからだ。
彼が誰かは想像にお任せするとして、次回に続きます。
⇒みんなのクレジット事件の真相⑥ 償還が停止した本当の理由は23人の行動ではない
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