アベノミクスやMMTの「社会主義政策」は経済成長をもたらさない

平等より正しい分配を!
前の話⇒MMT理論の嘘 埋蔵金も打ち出の小槌もないんだよ
前記事で、
「経済発展には成長に繋がる分野にリソースを集中することが必要」
と述べましたが、これを日本政府が行うのは実質的に不可能です。
なぜかというと、「政府には最適な配分を実現する能力がそもそもない」からです。
政治家や官僚には、社会に必要なものを見抜く判断力がありません。
クールジャパンは、不祥事だらけの吉本興業を応援しました。
国際芸術祭は、表現の不自由展こと「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介監督)を応援しました。
はっきり言って税金の無駄遣い。

消費税の軽減税率は対象が曖昧で、日常生活に必要な水道水は10%で、不要な新聞は8%だったりします。
プレミアム商品券や地域振興券といったアホな政策に公金をつぎ込んでは、費用の1/3の効果しか出ないと反省しています。
仮に前の記事で述べた通り「成長産業と少子化対策」に注力しても、金額に見合った結果は出ないでしょう。
大学の研究費を増額するにしても、何が社会を発展させる技術かわからない。
若者の結婚や出産を支援しようと思っても、60歳を超えた年寄りに今時の若者の気持ちを理解できるわけがない。
たとえ目の効く役人がいて入念な審査をしたとしても、公金に群がってくる膨大なシロアリを除去しきるのは不可能。
日本政府はどこかのスポンサーのために利権を作ることはできても、成長する分野に投資することはできません。
どんな産業が社会に必要とされるのか?
何にお金を使えば、経済が活性化していくのか?
それを知っているのは誰でしょうか?
答えは消費者です。
経済は消費者が需要を満たすためにあります。
消費者が商品やサービスを購入することで経済が動き、その総和が個人消費に、ひいてはGDPの増加となって表れます。
つまり本当に価値のある産業は、消費者であるあなたが決めるのです。

あなたがスターバックスに行ってコーヒーを頼めば、その品種とその値段が妥当であると示すことができます。
好きな曲のCDを買えば、そのアーティストを支援することになります。
美容室に行って髪型を指定すれば、そのスタイルが流行るかもしれません。
自分の欲求に従い、好きなモノのためにお金と時間を使う。
それによって投資した分野が発展し、社会全体に広がって経済成長に繋がる。
これが自由資本主義における正しいリソースの配分です。
政府が無理矢理出産を奨励したって、少子高齢化は止まりません。
だって、実際に子供をつくるのはあなたの欲望なんですから。
欲望が需要となり、市場を通じて供給と結びつくことで経済は発展します。
いわゆる「神の見えざる手」というやつですね。

ステファニー・ケルトン教授は「MMTは社会主義ではない」と否定していますが、残念ながらMMTが社会主義に至るのは避けられません。
なぜなら通貨発行を用いて公共事業を行えば、政府が国家の資源を占有してしまうからです。
国家予算が大きくなるほど民間の予算は相対的に小さくなるので、一般の人々が使える資源は減少します。
国民主権を取り戻すには、政府の支出を減らすしかありません。
「信用創造のお金は全額ベーシックインカムに使う」
とか
「通貨発行益の分だけ減税して、消費税と保険料を減額する」
というなら国民が資源の使い方を選べますが、原資が国民の負担であることは変わりません。
通貨を発行すればその分だけ価値が希釈され、既存の資産が減ります。
結局資産税と変わらないので、朝三暮四になってしまいます。
アベノミクスの金融緩和や増税にしたって同じこと。
日銀が株価を押し上げれば個人が購入できる株は少なくなり、贔屓された企業が生き残って国民に必要とされるべき企業が淘汰されてしまいます。
増税によって所得を徴収されれば、国民が自由に使える時間(リソース)が少なくなります。
国民から資源を徴収して、政府が使い方を選ぶのが社会主義。
国民が自分の意思で選ぶのが自由主義。
そう定義付けるなら、MMTによる財政出動もアベノミクスも、等しく社会主義政策に違いない。
その配分によってはマシになる部分もあるでしょうが、自由主義のように最高のパフォーマンスを発揮することはありません。
もちろん、民間が担うことのできない分野、例えば安全保障やインフラ整備などは国家が適正な予算を持って行わなければなりません。
既に危急の状況にある少子高齢化対策も、国家が先導してやらなければならないでしょう。
しかしそれは必要に応じて対処するべき事案であって、「国家が経済をコントロールしていい」という話にはなりません。
かつてのソビエトを振り返ればわかるように、社会主義・共産主義の計画経済は確実に失敗します。
人の欲望や意思を無視し、やる気を失わせる政策が成功するはずがありません。
リベラルは本来自由主義者を示す言葉ですが、日本のリベラルは国家による介入を正当化する社会主義者。
日銀を金融市場に介入させ、社会保険料を引き上げ続ける自民党はなおさら酷い。
自由主義が形骸化して国民も政府に過剰な期待をかけるばかりで、「自分が経済の主体である」という自覚を持っていない。
これが日本経済が停滞している最大の原因です。

とはいっても社会主義政党しかない日本では具体的に何をどうしたらいいのかわからないと思うので、自由主義を正しく実現した国を紹介します。
ヨーロッパとアジアの間に位置するジョージア(旧グルジア)は日本以上に人口減少の激しい国ですが、それにもかかわらず大きな経済発展を遂げました。
その理由は年金の廃止。
税制の改革をはじめに共産主義主義から自由主義に路線を変更し、なんとGDPを3倍にしました。
ジョージアの自由主義政策
・自由主義の哲学に基づいて国家を立て直すことを宣言
・憲法に新しい税金を課さないように政府を縛る修正条項が追加
・22種類もの複雑な税制を止め、6種類のシンプルな税制に
・法人税は15%、所得税は20%のフラットタックス
・ビジネスを始めるのに必要な800の許認可をすべて廃止
・公的機関のスリム化、民営化
・国家公務員の削減
・公的年金制度を廃止、社会保障関連の財源に充てられていた社会税の廃止
「年金を廃止したら高齢者はどうなるんだ?」
と心配になりますが、昔ながらの家族で支え合う形に戻ったそうです。
元より高齢者の面倒を見ていたのは政府ではなく現役世代なので、国民同士が助け合うなら制度は不要。
徴収のロスがなくなり、お互いの連帯感が深まった分だけ社会も良くなったのかもしれません。
もちろんそれで苦労する人もいるで一長一短ですが。
日本を含む先進国は「公的年金制度のために税収を増やし、さらに高齢化で税収を圧迫する」という悪循環に陥っています。
このような社会主義政策を行えば民間の活力はなくなり、いずれ制度が破綻するのは目に見えています。
経済成長に必要なのは誰もがトップに黙って従う独裁制ではなく、国民一人一人がリソースの使い方を選ぶ自由主義です。
日本もジョージアを見習って社会保険制度を改正し、資源を国民に返していくべきではないでしょうか?

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