ウィーワーク問題でソフトバンクと日銀が連鎖倒産!?
2019-10-31|経済を考える

思ったほど悪くなかった!?
ソフトバンクグループとウィーワークの懸念が世間を賑わせているので、この事件の本質と日本経済に与える影響について話したいと思います。
ウィーワークはシェアオフィスを事業とする米国の不動産会社で、ソフトバンクは5兆円の価値があるもの見て出資しました。
しかし、創業者兼CEOのアダム・ニューマン氏の薬物使用や不正行為が発覚し、企業価値は1兆円以下に下落。
上場は無期限延期となりました。
それにもかかわらず孫正義氏はウィーワークを切り捨てず、さらに1兆円以上追加して経営権まで取得。
新体制で再起を図っています。
含み損を抱えながらさらに出資するのは、FXや株式投資でいうナンピンみたいなものですね。
株を買ってみたけれど、悪材料が噴出して価格は下落。
安値で倍プッシュして、価格の戻りを狙っている感じです。
ナンピン自体は平均取得単価を引き下げるので、トレンドが反転すれば損を取り戻せる可能性もあります。
一方で「下手なナンピンスカンピン」というように、下落が止まらなければどこまでも損失を膨らませてしまいますが。
もしもウィワークが破綻すれば損失は当然株主のソフトバンクファンドが被ることになりますが、それだけでは済みません。
最悪の事態になれば日本国が連鎖倒産する危険性があります。
なぜかというと、ソフトバンクGは日本の中枢と資本的に繋がっているからです。
「会社が潰れても自分には関係ないからどうでもいい」とはなりません。

ウィーワークが事業に失敗すれば、実質的に親会社のソフトバンクGも損失を計上することになります。
ウィーワークの損失→ソフトバンクGの損失
ソフトバンクグループは日経225銘柄の一つで、寄与度はファーストリテイリングに次ぐ2番目ぐらいです。
つまり、ソフトバンクGの株価が下がると日経平均株価も下がってしまいます。
ソフトバンクGの損失→日経平均の下落
日本政府は異次元緩和を行い、日銀とGPIFを通じて日本株や日経ETFを盛んに買い上げています。
それは間接的にソフトバンクGに投資しているのと同じこと。
当然株価が下がれば、日銀や年金が損失を被ることになります。
日経平均の下落→日銀や年金の損失
「風が吹けば桶屋が儲かる理論」みたいですが、公的機関が膨大な額を出資している以上、日本全体が被害を受けるのは避けられません。
実際にどれだの公的資金がソフトバンクに注がれているのかはわかりませんが、20兆円以上のETFを日銀が買っているとしたら、日銀だけでソフトバンクに1兆円以上つぎ込まれていると考えるのが妥当でしょう。
アベノミクスは政府が株を買って企業を国有化する政策なので、企業が不祥事を起こせば私達の税金や年金も失われてしまいます。
万一ソフトバンクが倒産して何兆円もの損失が出たら、その責任は誰が取るのでしょうか?

とはいえ、今の段階でソフトバンクGがすぐに倒産するとまでは言えないと思います。
ウィーワークへの投資が失敗だったのは確かですが、致命的なダメージには程遠い。
ソフトバンクビジョンファンドは様々な企業に出資しており、ウィーワークはそのうちの一つにすぎない。
全体的な収益は黒字なので、一社が大赤字だとしても屋台骨が揺らぐまではいかないでしょう。
もちろん投資先の選定がめちゃくちゃで、ウィワークみたいな会社が沢山あれば話は別ですが。
仮にファンド全体が赤字になったとしても、それだけで倒産が決定するわけでもありません。
企業が倒産するのは資金繰りが付かなくなった時、つまり誰もお金を貸してくれなくなった時です。
ソフトバンクはみずほ銀行を主とした金融機関がバックについています。
また、ソフトバンク社債を大々的に売り出して、一般の投資家からも資金を集めています。
いざとなれば日本政府が支援に乗り出す可能性もあります。
(政府が法人税を払っていない企業を助けるのもどうかと思うが)
以上のことから、ウィーワーク問題は対岸の火事ではないけれど、今のところソフトバンクショックを起こすには至らないというのがエセ賢者の見解です。
当然ソフトバンクGの子会社であるソフトバンクにも影響はないので、携帯電話を乗り換える心配もしなくて結構です。
