婚活女性の求める「普通の男性」が存在しない数学的な理由

条件多すぎ!
近年日本では未婚率が右肩上がりに上昇しています。
結婚相談所に登録しても、「なぜ結婚できないの?」と悩んでいる女性は多い。
「いい男がいない!普通の男でいいけど、それもいない!」
「年収500万円は高望み?400万円ならいいの?」
みたいに「ハードルを下げればいい」と考える方もいますが、それも根本的にズレている気がします。
別に年収500万でも高学歴でもイクメンでもいいんですよ。
人生のパートナーを選ぶのだから、それなりの条件は提示せざるを得ないでしょう。
でも、普通の男を見つけるのは統計的に不可能です。
なぜなら、普通という言葉には複数の条件が含まれているからです。
具体的に「結婚相手に求める条件」を見てみましょう。
①年収
②年齢
③価値観
④学歴
⑤職業
⑥性格
⑦健康
⑧外見
⑨清潔感
⑩金銭感覚

人によってかなり内容は違うと思いますが、少なくともこれぐらいの数は出てくるでしょう。
そんな高望みしないつもりで、「平均以上の男と付き合いたい」と思った時、どれだけの男性がそれに該当するでしょうか?
仮にバラツキが正規分布であれば、平均以上に該当するのは50%です。
平均年収が400万円だとすれば、出会った人の半分は400万円以上稼いでいてもおかしくはない。
(実際は正規分布じゃないので、もう少し低くなるかもしれない)
「400万円以上の人と結婚したい!」という希望は、統計的に非現実的とは言えません。
アベノミクスで地方が衰退して若者がいないとか、高年収の人は既に結婚していて婚活市場に来ないとか、そういうのはありますけどね。
しかし、いくら年収が高くても、相手がおじいちゃんでは困りますよね。
収入に関わらず、少年や中高年は『普通の男』とは見なされない。
なので、年収・年齢という二つの条件が平均以上に当てはまる人を探すと、
該当者の割合=1/2×1/2=25%
25%まで下がります。
さらに、
「価値観が合わない人とは付き合えないよ!」
「持病を抱えている人は心配!」
「清潔感がない人はNG!」
ということで、価値観・健康・清潔感の三つ条件を加えてみましょう。
その場合は、
該当者の割合=(1/2)^5=1/32=3%
だいたい3%まで落ちました。
学歴や性格や職業などを加えて、最初の10条件を全部満たす人を計算すると、
該当者の割合=(1/2)^10=1/1024=0.1%
なんと千人に一人しかいません。
『普通の人』は全人類の0.1%だけです。
世間一般では「年収8000万以上」とか「東大卒」とか「身長185cm」みたいな条件が高望みと認識されていますが、別にそれはあり得ないというほどではないと思うんですよ。
一つや二つの条件なら、該当者も多少はいるでしょうし。

ただ多く条件を同時に満たす相手を探すと、それは途端に難しくなります。
人間は多様で、必ず欠点を持っている生き物だからです。
大企業に勤めている男性でも、自慢話をしていたら普通じゃない。
すごいハンサムでも、家が汚れていたら普通じゃない。
貯金が1億円あっても、ギャンブルで稼いでいたら普通じゃない。
減点方式で見る人は何か一つでも気になる点あったら、人はそれを異常と認識する。
だから『普通の人』ってのはまず存在しえない。
相手に複数の条件を求めること。
相手の欠陥を許容できないこと。
これが、パートナーを見つけられない最大の原因だと思います。
もちろんこれは男性も同じこと。
「家事ができて、子供の面倒を見て、美人で、気立ての良い」普通の女性は存在しません。
しかしながら、オスは元々普通を求める傾向にないため、女性ほど相手選びに困ることはないようです。
男性向けアイドルグループのモーニング娘が最大16人、AKB48は48人もいますが、女性向けアイドルのSMAPや嵐はたったの5人。
この人数差に、男女の許容度の違いがはっきりと表れていると思います。
仮に48人の女性向け男性アイドルグループを作っても、AKBのようには売れないでしょう。
ファンはいずれかのメンバーのダメな所に着目して、グループ全体に不快感を持つ可能性が高い。
そんなに条件の揃った男性は滅多に存在しないのでそもそも作れないと思いますが。
良く言えば寛容、悪く言えば杜撰な男性は、好みの一つでも合致すれば惚れてしまうので相手探しに困ることは少ない。
減点方式ではなく加点方式で見れば、48人の嫁を愛することも可能でしょう。
(受け入れてもらえるかは別問題)
良く言えば潔癖、悪く言えば不寛容な女性は、一つでも粗を見つけたら相手を拒否してしまう傾向があります。
婚活女性が相手を見つけようと思ったら、年収や学歴のハードルを下げるのではなく、「優先順位を定めて本当に大事な条件に集中する」ことを考えてみた方がいいでしょう。
一番大切な部分に集中すれば、それほど重要ではない欠点に惑わされることはなくなります。
恋人探しでも就職面接でもポケモンの厳選でも、相手を選ぼうとすると誰しも自分の知らないうちに必要以上に多くのことを求めてしまっているもの。
まずはそれに気づくことです。

なんとなく婚活の女性を批判するような内容になってしまいましたが、別に女性や恋愛に限った話ではありません。
このような欠点に注目する傾向は人間が潜在的に持つ強力な本能です。
いつも部下や友人の短所ばかり見ていると、彼等の大事な長所を見落としてしまうことがあります。
些細な懸念点を言い訳にして、行動や決断を避けようとすることもあります。
大きく稼げる投資やビジネスを見つけても、リスクを恐れて踏み出せないこともあります。
やらない理由を見つけて拒否するのは簡単です。
時期が悪い。
先が見えない。
体調が悪い。
信頼できない。
忙しい。
馬鹿にされる。
めんどくさい。
安全を確保したい。
でも、そうやって落としていくと、できることは何も残りません。
0.1%しかいない「普通の男性」を求めて失敗する婚活女性のように、ありもしない幻想を延々と探し続けるだけです。
複数の条件を提示してそれ以外を拒否するということは、「何もしたくない」と言っているのと同じことです。
選択とは、常にメリットとデメリットの両方を受け入れるものでなければなりません。
