マネー経済学・マクロ経済学はなぜ間違っているのか

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電気工学を学んで一番驚いたのは、電流は実在しないということ。
私達が使う機械設備は電気の力で動いていますが、プラス方向からマイナス方向へ向かう電流は物理的に存在しません。
実在するのは、電子の流れ。
(陽電子やプラスイオンは電流の向きに動くけれど、電子機器には使われない)
電子は負の電荷を持っているので、マイナスからプラスに移動します。
電流の向きとは完全に逆です。
もしも電子が目に見えるほど大きかったなら、人間は電子の流れる向きをプラスとして定義していたでしょう。
しかし電子は小さすぎて存在すら認識できなかったので、人間は電流の向きを適当に決めてしまいました。
その後電流の正体が電子の流れ(逆ベクトル)であることが発見されましたが、随分時間が経っていたため今更定義を変えるわけにはいきませんでした。
そのため訂正されることなく、現代でも電流という仮想の概念が機械を動かしていることになっています。

電流と電子の関係は、お金と商品の関係によく似ています。
なぜなら、お金も電流のように流れるけれど、現実には存在しない概念だからです。
ゴールドという元素や硬貨や紙幣といった物質は存在しますが、お金という物質は実在しません。
造幣局の印刷した紙の束に通貨という役割を持たせて、物やサービスを交換する際の仲介役にしているだけです。
物理世界に「お金の流れ」は存在しません。
電子決済が当たり前になった現代では現物すら必要なく、単なる電子データの計算だけで「お金が移動した」という結果を作っています。
電子・・・モノの移動→実在
電流・・・お金の移動→仮想的
「電子の逆ベクトル」を電流と定義したように、「商品への返礼」をお金の動きと定義しているだけ。
もちろん売買以外にも徴税や贈与などもありますが、いずれにせよ取引を成立させるために実在しない数字を移動させていることに変わりはありません。

本当の経済学(現在は古典派経済学と呼ばれる)には、お金が登場しません。
登場したとしても主役ではなく、補助的な役割を担うだけです。
あくまで現実の活動である生産、交換、消費を扱う学問です。
一方でケインズ以降の経済論や金融理論、マクロ経済学や現代貨幣理論(MMT)はお金という架空の存在を主役にして経済を語っています。
現実を基準にしていないので、その思考は非現実的であり、私達が住む物理世界とはしばしば乖離が見られます。
近代の経済学者はお金の動き(GDPやインフレ率)で経済の動向を評価しますが、それは時として大きな誤解を生みます。
というのも、お金の動きは現実を正確に表さないからです。
電流も架空の概念ではありますが、「電子の動きの正反対」なので、ひっくり返せば現実になります。
鏡を見れば物の形状が確認できるように、方向は違ってもエネルギーの大きさは正確に測れるため実用上の問題はありません。
しかし、お金の流れを見ても肝心の商品やサービスの流れを知ることはできません。
・1kgの米を千円で買った
・半額サービスだったので2kgの米を千円で買った
・オーストラリア産の牛肉を千円で買った
・恵まれない子供募金に千円寄付して使ってもらった
・社会保険料で千円徴収されて、高齢者のために使われた
マクロ経済学の観点では、これらは全部同じです。
いずれの場合もGDPは千円増加しますが、現実の私達が何をどれだけ手に入れたのかわかりません。
一人の大富豪が全ての物を独占して、他の人は何も得られないかもしれません。
日銀はGDPやインフレ率、マネーサプライを目標にしていますが、馬鹿げていますよね。
少子化など問題を解決するのが政府の役割なのに、架空の数字に注力してどうするのやら?

さらに問題なのは、金融政策・財政政策は現実と因果が逆転していること。
一般的な経済成長は以下のように起こります。
①人口が増加する
↓
②産業が発展する
↓
③生産と消費が増える
↓
④GDPが増える
経済が成長すれば取引が増えるので、結果的にGDPが増えます。
だからGDPの変動で経済成長の度合いを測ることができます。
しかし、その逆は必ずしも成り立ちません。
「身長が伸びたら体重が増える」が正しくても、「体重が増えたら身長が伸びる」が正しくないのと同じ。
経済成長→GDP増加 ・・・〇
GDP増加→人口増加 ・・・×
GDP増加→産業発展 ・・・×
GDP増加→生産と消費の増加 ・・・×
現在の日本のように、GDPが増えても人口が減っていることがあります。
GDPが増えても、ベンチャー企業が生まれたり文明が発達しているかはわかりません。
生産量や消費量は変わらずに、単にインフレしただけかもしれません。(実質GDPでわかるけど)
オスプレイを買うために軍事費を増やして、国民のための投資は行われていないかもしれません。
経済成長を目指すのであれば、政府は少子化の解決や成長産業の支援を行わなければなりません。
それらの政策次第で経済は拡大・縮小し、GDP(お金の量)となって表れるでしょう。

しかし、ケインズ派のマクロ経済学者は逆にお金の量を増やそうとします。
政府支出を増やすとその分GDPが増加するので、それをもって「経済が成長した」と見なします。
これは因果が逆転していますよね。
①現実:企業が生産→消費者が購入→お金が移動
②ケインズ:お金をばら撒く→消費者が購入→企業が生産
一見するとお金をばら撒けば景気が良くなるように思えますが、それで本当に産業が発展するでしょうか?
むしろ楽して収益が得られることで企業は新製品の開発を怠り、産業は衰退していくのではないでしょうか?
国民に平等にお金を配る社会主義国は必ず衰退しました。
ケインジアンの需給管理政策を行った英国は経済破綻しました。
「お金を動かせば経済が成長する」
というのは、原因と結果を取り違えた迷信です。
お金が増えれば経済が発展するなら、ジンバブエもベネズエラも経済大国になっています。
こんな幻想を中央銀行の総裁や経済学者が信じているのだから、本当に救いようがない。
あるいは間違いだとわかっているけれど、バラマキを肯定するために嘘を広めているのか。

経済政策に近道はありません。
経済指標はリアルの問題が積み重なった結果だからです。
・コロナウィルスなどの伝染病
・社会保障
・少子高齢化
・起業率の低さ
・厳しい規制
こういった理由で経済成長が妨げられているのなら、ひとつひとつ地道に解決していくしかありません。
それをせずに政府支出でGDPやインフレ率を操作するのは、のび太が0点の答案を100点に書き換えるようなもの。
そんな粉飾をしても問題は何も解決しないし、日本の実力が向上するわけでもない。
「緊縮財政が悪い」「お金が足りないから財政出動しろ」
などと言って、実在しないお金に責任を転嫁するのは止めましょう。
経済を支えているのはお金という仮想の概念ではなく、物理世界に住む私達自身です。
GDPやインフレ率といった虚構の数字ではなく、現実の豊かさを目標にしなければなりません。

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