みんなのクレジット事件の真相⑬ 目指すは刑事告訴

詐欺師に負けるな!
前の話⇒みんなのクレジット事件の真相⑫ 被害者の会代表なゆきち
なゆきち氏や大山氏を始めとする新メンバーが加わったことで、被害者の会は活動の幅を広げることになった。
エセ賢者は民事訴訟に集中しており、それ以外の活動を積極的に行おうとはしていなかった。
もしも彼らがいなければ、会は2ch掲示板に毛が生えた程度の情報交換の場に留まっていただろう。
再始動した被害者の会は多くの機関に働きかけ、いくつものアクションを行った。
同様な詐欺事件の被害者が立ち上がる時に参考になるように、代表的なものを紹介しておこう。
<被害者の会の役割>
①民事訴訟
②刑事訴訟
③マスコミを通じた拡散
④公的機関への通報
⑤債権売却の阻止
①民事訴訟
弁護士や裁判所を通じて資金の返還を求める活動。
みんなのクレジットと交渉して返金を要求し、それが叶わなければ法廷で紛争の解決を図る。
先行の訴訟組は直接弁護士に依頼し、集団訴訟を行うことになった。
それ以降の方々は訴訟ポータルサイトであるenjinに合流し、後発の訴訟に参加することになった。
あくまで民事訴訟は当事者双方の言い分を聞いて、裁判官が判決を出すもの。
業者側の不備や虚偽が認められれば契約の無効と返金を求めることができるが、犯罪として逮捕されるわけではない。
裁判に参加しなかった者に返金が行われることもない。
②刑事訴訟
警察に被害届を出し、犯罪行為に対する刑罰を求める。
刑法に基づいて犯罪を立証する必要があり、民事訴訟よりも敷居が高い。
みんクレに該当する可能性があるのは、詐欺罪、横領罪、背任罪といったところだろう。
有罪になったとしても執行されるのは禁固刑や罰金刑で、被害者の救済が行われるわけではない。
しかし、減刑を目的として自主的に返金をするケースもゼロではない。
既に納付された税金の返還や被害回復給付金支給制度によって、被害者を助けられる可能性もある。

③マスコミへの周知
豊田商事や安愚楽牧場といた詐欺事件に比べると、みんなのクレジット事件は世間の認知度が低かった。
白石一味はみなクレ以外にも多数の企業を立ち上げ、計画倒産させている。
裁判中にもブルーファイナンス、ホワイトストーンコインなど新しい事業が立ち上げられていた。
このまま放置すれば、次の被害者が出る可能性は高い。
それを防ぐために私達は複数のメディアと連絡を取り、事件を取り上げてもらった。
被害者の会員に頼んでテレビに出演してもらったこともある。
・ヤフーニュース
・東洋経済
・AbemaTV
・テレビ東京ワールドビジネスサテライト
中には取材はしても記事にしてもらえなかったマスコミもある。
ヤフーニュースに掲載されても、「騙される奴が悪い」と中傷するコメントも少なくなかった。
しかし、私達の広報とその後にSL業者の不祥事が続いたこともあり、みんクレ事件は投資家を中心に注目されるようになっていった。

④公的機関への通報
・金融庁
・関東財務局
・消費者センター
最初は行政処分を下した金融庁と関東財務局に。
さらに契約の不正として消費者センターに。
会の皆で一斉にクレーム入れた。
残念ながら行政の腰は重かった。
金融庁は是正命令を下すだけで具体的なには結び付かなかったが、それでも今後のために圧力をかけることにはなったと思う。
⑤債権売却の阻止
みんなのクレジットは、約款の時点で回収できない債権は売却することをほのめかしていた。
31億円の未償還分はいずれサービサーに売却され、雀の涙ほどの返金で終わってしまうことが予想できていた。
私達は日本中のサービサーを調査し、金融庁にも働きかけて債権売却の阻止を目指した。
しかし、その甲斐もなく債権回収会社に1億円で譲渡されることになってしまった。
みんクレに譲渡先の開示を求めたが、守秘義務を盾に回答は拒否された。
31億円いったいどこの業者に譲渡されたのか?
そもそも本当に譲渡されたのか?
白石の仲間に渡されてチャラになっただけではないのか?
あれから3年近くの時間が経ったが、わからないままだ。

このように被害者の会は様々なアクションを行ったが、なゆきち氏・大山氏の両名が熱心に取り組んだのは刑事訴訟。
両名を中心に刑事訴訟グループが立ち上がり、告訴を目指すことになった。
みんなのクレジットの勧誘は詐欺ではないのか?
白石伸生による融資金の私的流用は横領や経営者としての背任行為に当たらないのか?
あらゆる可能性を考慮し、不法行為の告発を目指した。
ところが、猫賢者は刑事訴訟に対しては深く関わらないことにした。
というのも、民事と刑事は全く違うものだからだ。
民事訴訟は民法の財産権に基づき、財産の返還を求めるもの。
刑事訴訟は刑法に基づき、犯罪者に罰を与えるもの。
目的が全く異なる。
場合によっては事件化がスカイキャピタルの倒産といった事態を招き、利益相反になる可能性すらある。
そのためエセ賢者は民事集中し、刑事については両名に任せることにした。
不安もあったが大山氏は聡明で、なゆきち氏は自信に溢れていた。
「証拠はある。必ず有罪になる」
彼の力強い言葉を私は信じていた。
後の祭りになるが、あの時無理にでもその証拠の中身を聞いておくべきだった。
民事との対立と内部スパイの懸念から遠慮したことが悔やまれる。
次の話⇒みんなのクレジットの真相⑭ 金のためなら人は簡単に裏切る

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