【USA360】楽天・米国レバレッジバランス・ファンドは危険?
2021-08-29|役立つレビュー・紹介

見落としてた! (;д;)
Youtuberの風丸氏が、レバナスと合わせて最強ポートフォリオを形成しているのがUSA360。
株式と債券を組み合わせた、安定運用で定評のある投資信託です。
2019年11月運用開始からの資産総額は右肩上がり。
シミュレーションによると、その利回りは過去30年で25倍。
リーマンショックやコロナショックなど金融危機においても、株式ファンドよりドローダウンが小さい。
まさに夢のような商品ですが、エセ賢者が投資するかは微妙。
過去の成績は認めるけれど、これまで通りのパフォーマンスは期待できないというのが正直な感想です。
⇒USA360の成績
<USA360の特徴>
・米国株と米国債を組み合わせて、リスクヘッジしている
・株90%、国債270%のレバレッジがかかっているため、運用効率が高い
・為替ヘッジなし
・管理費用 0.4945%
一般の投資家が現物で株や債券を買う場合は、
・株式 25%
・債券 75%
・合計 100%
のように100%分を分けますが、USA360は、
・株式 90%
・債券 270%
・合計 360%
というように、信用取引のレバレッジを使って4倍のポジションを作っています。
元が大きいんだから、そりゃ運用成績も大きくなりますよね。

リターンが4倍ならリスクも4倍になりそうですが、そこは株と債券のヘッジでカバーしています。
リスクの高い米国株は90%だから、株の分はVTIやS&P500と同程度の変動。
価格変動の小さい米国債は270%と大きくすることで、株式:債券=1:3のバランスを取っています。
基本的に株と国債は逆相関と言われています。
テロなどでリスクオフになったら株は下がりますが、国債に資金が逃避して債券は上がります。
この二つを合わせることで合計の変動を抑えれば、高利回りと安定性を両立できるというわけですね。
ここまで聞くと素晴らしい投資に思えますが、猫賢者には気になる点があります。
そして、今は時期が悪いんじゃないかと思っています。
というのも、現在は超低金利の時代だからです。
過去30年の予想リターンは25倍だそうですが、その30年で金利はどれだけ変わったでしょうか?
<長期金利>
1990年頃:8.0%
↓
2021年現在:1.5%

仕組みからして金利が下がると債券価格は上がるので、この30年は圧倒的に米国債に有利な状況が続いてきました。
USA360は3倍の米国債を持つのだから、この環境で儲かるのは当たり前です。
これから先も同じ利回りを出すためには相応の債券価格の上昇(金利の低下)が必要ですが、既に金利の下落余地は殆どありません。
それどころか、この先FRBはテーパリング・利上げを計画しています。
FRBはハト派なうちはいいけれど、いざ利上げサイクルが始まって金利が上がれば債券が落ちるので、USA360にも向かい風になります。
テーパリング前に債券のレバレッジファンドを買うのは、あまり賢い選択とは思えません。
もちろん、USA360は米国株を含んでいるし、さらにレバナスのような株式と組み合わせる戦略もあります。
景気拡大局面の利上げなら、
株式の値上がり>債券の値下がり
となって、ポートフォリオ全体は上がるかもしれません。
でも、いつもそう都合よくいくとは限りませんよね。
利上げは景気の過熱を抑えるととも、インフレ対策でもあります。
不景気下のインフレであるスタグフレーションが起これば、株が下がっても金利が下げられないこともあるのでは?
株と債券は基本的に逆相関ですが、リーマンショック時には現金に資金が向かい、同時に下落しました。
ビットコインなど新しい逃避先も生まれているので、ヘッジがあるからといって確実に機能するとは言い切れないでしょう。
USA360の直近のパフォーマンスは素晴らしいものですが、それはFRBが4度の金融緩和で低金利・株高を招いてきた結果です。
低金利が永遠に続く保証はないので、シミュレーションを過信してはいけません。
⇒【レバナス積立】 NASDAQ100レバレッジ投信は最強の投資!?
