債券相場と為替相場 長期金利とドル円の相関性

同一人物?
昔から米ドルと米国債の利回りには相関があると言われています。
特に米10年国債利回りとUSD/JPYの相関性は強く、金利低下によってドル円が下がったというニュースもよく見ます。
これは「GWに円高になる」みたいなアノマリーではなく、それなりに納得のいくお金の流れです。
米国に限らず10年物国債の利回りは、その国の長期金利として扱われます。
要するに国債の利息が、通貨の金利=調達コストの指標になっているわけです。
二国間の資金のフローは、金利の影響を強く受けます。
金利の低い日本円を売り、金利の高いNZドルを買えば、スワップポイントが稼げるのは、FXトレーダーなら誰でも知っていること。
利回りを求める資本主義社会では、金利の高い通貨が買われやすいのは当然と言えます。
もしも米国の長期金利が上がれば、ドル買い需要が高まり、ドル高円安になります。
逆に下がればドルへ注がれていた資金が円に逆流し、ドル安円高になります。
ほんの僅かな金利の違いが、為替相場を大きく動かすことを覚えておきましょう。
リーマンショック前の2007年頃には、米国の長期金利は5%を超えていました。
これは現在のオーストラリアやニュージランドを凌ぐ高金利です。
当時から低金利だった日本国債に比べ、さぞ魅力的な投資先だったでしょう。
その後リーマンショックが起こり、公定歩合の引き下げと量的緩和により、金利は劇的に急落しました。
一時は1.5%を割り込むこともあり、現在では2.5%程度で推移しています。
☆2014年5月現在の長期金利
・日本国債10年 0.570%
・米国債10年 2.472%
・米国債30年 3.326%
・ドイツ国債10年 1.353%
・オーストラリア国債10年 3.657%
長期金利が下降するということは、債権の価格が上昇することを意味します。
そうなれば債権は売られ、通貨価値は下がっていくことになります。
リーマン後の5年間、ドルが他通貨に対して長期的に下落し続けてきたのは、金利の低下と無関係ではないでしょう。
ならば量的緩和の縮小に従って金利の上昇が起これば、またドル高が起きることを考えられます。
あくまでどこに資金が流れるのかが問題なので、必ずしもそうなるとは限りませんが。
株式市場、為替市場、債券市場、商品市場など、相場は多岐にわたっていますが、全ての金融市場はお金という共通のツールで繋がっています。
どこかが膨れればどこかが凹み、互いに影響しあっています。
一つの市場だけを見るより、金融市場全体を見てみるほうがいいでしょう。
今の社会が何に注目しているのかを理解すれば、貴方の投資先も見えてくるかもしれません。
現在は株式がもてはやされ、商品先物が廃れています。
時流に乗って株に賭けるべきか、それとも安値にある現物を買って時期を待つべきか。
相場全体のサイクルを考えれば、そういった戦略も成り立ちます。
腐っても金融市場最大の債権市場。
しかも世界一の大国である米国債となれば、世界の資金の流れを左右することもあります。
相場の世界に生きる者ならば、主要国の金利動向くらい眼を光らせておいても損はないでしょう。
ギリシャ危機以降の南欧諸国の国債利回りなんて、見ているだけでも面白かったりします。
いくら探しても見つからない答えとは、案外関係のないところに転がっているものなのかもしれません。

やはり私も、新しい分野に手を広げるべきなのだろうか?