含み損の憂鬱 決済しなくても、負けは負け

そこは嘘でも美味いと言ってやれ。
FXとCFDは差金決済なので、決済をしない限り損益は確定しません。
いくら含み損が増えようが、決済しない限り損失としては計上されません。
同様にいくら含み益が出ようが、決済しない限り課税対象にはなりません。
そんなわけで含み損になったポジションを塩漬けにして、損失をなかったことにしようとする投資家が結構います。
かくゆうエセ賢者も、昔から頻繁にアホールドをしていました。
縄文時代からやってますから、かれこれ3000年くらい塩漬けしてますか。
気が長いものですね、私も。
アホールドというのは、必ずしも悪い手法ではありません。
本当に長期間待つつもりがあるのなら、勝つ確率は相当に高い。
非常に低レバレッジで、
マイナススワップの生じないポジションで、
たまたま大きな経済ショックがなく、
相当な年月を待つ気長な性格であれば、
一応やれないことはないでしょう。
要するに、やる価値ないってことです。
☆アホールドが失敗する要因
①レートが何年も戻ってこない
為替相場は一方通行のトレンドを頻繁に発生させます。
一度トレンドに逆らったポジションを持つと、何年も価格が戻ってこないことがあります。
例えば、ドル円は2008年からずっと下降トレンドが続いていました。
2008年に100年を割れて買った外貨預金は、何年も下落を続け、ようやく100円に戻ってきたのは2013年のことでした。
実際に5年間待ち続けた日本人はいるでしょうが、そんなトレードをしたいと思いますか?
もっと悲惨なのは、ランド円やトルコ円。
10年以上も下落を続け、アベノミクスの円安をもってしてもリーマン前の高値に到底届きません。
おそらく、日本が破綻しない限り年単位の塩漬けが助かる見込みはないでしょう。
それでもまだ待ち続けている猛者も、実はいるのですが。
②レートが動きすぎて強制決済される
為替の動きとは、想像以上にダイナミックなもの。
レバ1倍なら原理的にまず強制ロスカットはありませんが、ローレバでも決済されることがあります。
リーマンショック時には豪ドルが半値近くまで暴落して、低レバスワッパーさえ死滅させられました。
アイスランドクローナのように何らかの事情で取引が中止される場合もあります。
最近では取引量の少ないくりっく365のインドルピー、韓国ウォン、中国元の取り扱いが廃止されました。
損益に関係なく、業者の都合で強制決済される場合もあります。
③スワップ・オーバーナイト金利で自滅
マイナススワップのポジションは持っているだけで資金が減る為、塩漬けしているだけで自滅します。
豪ドルやNZドルなんか長期で売ったら間違いなく死ねますが、低金利のドル円でも長期では結構な損になります。
「ゆったりドルショート」とか言って長期でドルを売っていたセオリーさんは、今頃どうしておられるのでしょうか?
プラススワップのポジションとて、将来的には金利が逆転することもあります。
マイナス金利を導入したユーロのように、日本より低金利になることもあります。
政策金利は変わらなくても、業者次第でスワップが悪化する場合もあるので注意。
☆アホールドは損の塊
別にエセ賢者は塩漬けを嫌っているわけではありません。
むしろ好きです。
しかし、やっぱり資金効率が悪いことは素直に認めるべきかと思います。
5年間待って損失がゼロになったとして、それは果たしてお得でしょうか?
その5年間資金を拘束されなかったら、どれだけ有効活用できたでしょうか?
インフレによって、通貨価値はどれだけ目減りしたでしょうか?

これがリフレ政策の末路か・・・
数字の上では損がなくとも、明らかに多大な損失を被っています。
損失はきちんと損失であることを自覚しましょう。
一億円で買ったゴッホの絵を鑑定したところ、100万円の価値と認定されました。
それでも売却しない限り損ではないと言い切れますか?
実際成金の家には、時価一億円(笑)の絵画がゴロゴロしているわけですけど。
たとえ利益確定しなくても、含み益は貴方が得た利益です。
たとえ損切りしなくても、含み損は貴方が失った損失です。
結果をきちんと評価して、無駄のない資産運用を心掛けましょう。

とんでもないものを盗んでいるのに、ルパンも東証も刑罰を受けない。
本当の悪はいつも法を超えたところに在る。