ロシア危機なら30円以上円高が進む

実際に味わってみないとわからないこの激痛!
一度ミニセリクラが起こって現在は小康状態にありますが、ロシアは今も予断を許さない状態です。
原油は相変わらず反発が弱く、資源国通貨安・ドル高は止まらない。
いつ何時危機が再発するかわからないことを肝に命じておきましょう。

危機というのは、1998年のロシア危機・アジア通貨危機のことです。
かつての大暴落が再来するのではないかと、古参のトレーダーは心配しているわけです。
若い投資家は誰も知らないだろうけど。
現在の状況を振り返ってみると、当時の危機と非常に非常に良く似ています。
もちろん違うところも結構ありますが。
☆通貨危機時との共通点
・米国の大統領が再選(当時はクリントン政権)
・米国の株価が大きく上昇している(当時は約25%上昇)
・FRBが利上げを進めている(1997年にFRBが0.25%利上げをしてから危機発生!)
・新興国から米国への資金の還流が起きている
ロシア危機・アジア通貨危機の直接の原因は、米国の利上げです。
米国が低金利政策を解除すると世界中にばら撒かれたドルが引き上げられ、強烈なドル高を引き起こします。
現在のドル高・ダウ高は明らかに利上げを織り込んだ市場の先走った行動でしょう。
アメリカへ資金が還流するということは、新興国の資金が枯渇するということ。
現地通貨が激しく売られ、膨大な米ドルが買われるということ。
そんなわけで、ロシア、ブラジル、インド、タイ、オーストラリアなどがどこもエライことになっています。
短期的なリバはあるかもしれませんが、これらの国の長期見通しは暗く、通貨を長期保有するのは賢くありません。
世界平和を考えるなら、米国は永久に利上げなどするべきではない。
けれど、直近のFOMC声明のフォワードガイダンスに変更が加わり、利上げが近づいていることが示唆されました。
「considerable time(かなりの期間)」⇒「patient(忍耐強く)」
日本人にはよくわからないニュアンスですが、利上げを行う意志があるのは間違いありません。
過去にこの単語が出たときは、だいたい5ヶ月後に利上げされていたらしいので、遅くとも2015年の半ばには政策金利が引き上げられているはず。
☆ロシア危機で円高
政策金利が引き上げられるとドル高が加速することになり、ドル円を買っていればいいと考えがちです。
しかし、前回のロシア危機時はドル高以上に円高が進みました。
1998年8月17日にロシアはルーブルの切下げを行い、民間対外債務を90日間支払猶予(モラトリアム)を行いました。
これによりルーブルが急落し、8月27日には為替取引が全面的に停止しました。
これだけならただのルーブル安で終わったのでしょうが、問題は危機の連鎖。
当時米国債売り・ロシア国債買いというポジションを持っていたLTCMなど大手のヘッジファンドは、この危機によりが経営危機に追い込まれました。
LTCMの破綻をきっかけにキャリー・トレードの巻き戻しが起こり、ドル円は2日間で14円以上の円高となったのです。
ロシア危機前のドル円は、145円程度。
危機後は、110円を切りました。
ほんの数ヶ月で35円以上の円高が発生しています。
もちろん1998年と現在とでは各国のパワーバランスも違いますし、市場の流動性も極めて高くなっています。
全く同じことが起こるということもないでしょう。
しかし、膨大に積みあがったキャリーポジション。
一人勝ちの米国株式市場。
近づく利上げと、還流する資金。
近い将来に似たような金融不安が発生することは、避けられないと思われます。
危機が発生するにせよ、しないにせよ、2015年の相場は大嵐になるでしょう。
アベノミクスがひと段落着いたこともあり、来年も現在の上げ相場が続く可能性は極めて低い。
レンジ狙いの狭いトラリピなんてやってたら確実に破産することになりますので、損切りをしっかりしてトレンドに上手く乗るように心掛けましょう。

ああ、なんて恐ろしい。