くりっく365ランド円異常レート訴訟一審は原告の敗訴!

なんと卑劣な!
2009年10月30日に起きた南アフリカランド円の大暴落事件をご存知でしょうか?
くりっく365で取引終了間際にZAR/JPYが11.535⇒8.415という瞬間暴落を起こし、約500人が強制ロスカットされた大事件です。
くりっく365以外の業者では配信されない明らかな異常レートであったため、当然ロスカットに遭った被害者は裁判を起こし、あれから5年以上も経った今でも裁判が続いています。
その訴訟が平成27年3月5日になって、ようやく1審判決が出たようです。
くりっく365ランド円異常レート被害弁護団より引用
引用元:http://www.click365-higaibengodan.com/
【平成27年3月23日】
平成27年3月5日(木)午後1時10分,東京地方裁判所606号法廷において判決の言い渡しが行われました。
1審判決は残念ながら請求を棄却しましたので,弁護団は控訴を提起しています。
1審判決の概要は次のとおりです。
・金融取の過失について,「くりっく365」の取引参加者を通じて取引所外国為替証拠金取引を行う顧客に対し,マーケットメイカーによる実勢価格 から著しくかけ離れたレート提示ないし著しく乖離したスプレッド幅によるレート提示によって,顧客に不測の損害を被らせることのないよう,適切なシステム の構築・整備・運営等を行う注意義務を負っており,これに反する行為は取引参加者を通じて取引所外国為替証拠金取引を行う顧客に対する不法行為を構成する との規範を示しましたが,本件については,事前予防措置として取引所システムにおいてチェック機能を採用していたから,金融取が「くりっく365」市場を 開設・運営するにあたって必要なシステムを構築・運営する注意義務を尽くしていたとして,金融取の過失を否定しました。
また,本件においてチェック機能が機能しなかったことについては,コメルツバンクの想定外の行為によってチェック機能が無効化されたのであるから,そのようなマーケットメイカーの行為に対してまで無効化されないようなシステム設計をすべき注意義務を認めることはできないと判示しています。
さらに,10月中にコメルツバンクが何度も異常レートを提示してたのであるから,金融取は特に注意して監視すべきであったという主張に対して は,10月中のコメルツバンクの異常レートは,他のマーケットメイカーによるレート提示が優先し,合成レートとして市場レートに提示されることがなかったから,金融取は異常レートが提示されていることを認識し得なかったとして,この点に関しても過失を否定しました。
・コメルツバンクの過失については,被告金融取と同様,実勢から著しくかけ離れたレート提示を行うことによって顧客に不測の損害を被らせることの ないようにする注意義務を負っていたとの規範を示した上,本件については,本件レートを提示するに至るまでこれを調整するのに十分な機会が与えられていた のに,本件レート作成時に調整すべきエマージェンシースプレッドの桁数を調整することを怠り,本件レートを提示するに至ったのであるから,被告コメルツバ ンクには注意義務違反の過失があると判断しています。
しかし,11月2日の取引開始直後において,ランド/円取引の成行の売注文が増加したことは認められるが,マーケットメイカーがこれを消化する ためにインターバンク市場においてそのカバー取引をその直後に行ったと認めるに足りる証拠はないし,仮にそのようなカバー取引が行われたとしても,前提事 実のとおり「くりっく365」とインターバンク市場の平均取引高に照らした市場規模の差に照らすと,その影響は極めて限定的であったと解される。
そうする と,本件レートの提示が,インターバンク市場に大きな影響を与えたと認めることはできないなどとして,「くりっく365」における11月2日午前7時10 分ころのランド/円取引における円高は,本件レートの提示が原因であると認めることはできないとして結論としてコメルツ銀行の過失行為と,損害との因果関係を否定しています。
当弁護団は,金融取の過失は否定されているものの,コメルツ銀行の過失を認めた点では意味のある判決がされたものと評価しています。
しかし,原告らの損害との過失との因果関係が否定されており,これを理由に請求が棄却されていますので,この点については上訴審で再度判断を仰ぐべく,3月19日, 東京高等裁判所に控訴状を提出いたしました。
事件番号等は以下のとおりです。
事件番号:平成27年(ワネ)第757号
※記録が高等裁判所に移ってから担当部及び正式な事件番号が決まります。
控訴人:45名
被控訴人:㈱東京金融取引所,コメルツ銀行
請求金額:2億1839万6200円
長くて読んでいるだけで眠くなる文章ですね。
まるで猫賢者の文章みたいです。
要点を箇条書きすると、
・金融取の過失を訴えたが、棄却された
・コメルツバンクの過失は認める
・チェック機能が機能しなかったのはコメルツバンクの行為が原因であり、金融取の注意義務は認めない
・ランド/円取引における円高は本件レートの提示が原因とはいえない
裁判所はコメルツバンクに全ての責任を被せて、直接の取引先であるくりっく365の責任は認めないつもりのようです。
確かにコメルツが異常レートを配信したのが元々の原因なのでしょうが、顧客側からすれば実に苛立たしい判決です。
顧客は業者を信頼して資金を預けているというのに、そこが責任を取らなくてどうするのか?
顧客の注文を約定させる以上、レート配信には責任も持って頂きたいものです。
元凶であるコメルツバンクは一応行政処分を受けていますが、処分内容は「300万の罰金」と「二週間の営業停止」。
本気で行政は、銀行に甘すぎるのではなかろうか。
この判例からすると、今回のスイスフランショックも被害者にとって不利な裁判になるのは否めません。
レート配信を止めた業者は確かに大きな被害を与えていますが、その責任を相場の急変とスイス中央銀行におっかぶせてしまえば、FX業者の過失は認められないことになります。
無論そのような暴論は断固認めませんが、FX業者側はそれを主張してくるでしょう。
まったく、顧客保護の原則はどこにいったのやら・・・
しかしながら、声を上げて争うことが無意味なわけではありません。
ランド暴落事件も、沢山の苦情が相次ぎ、批判を浴びたことでくりっく365が救済措置を講じることになりました。
多くの被害者から責任が追及されて報道機関にも数多く取り上げられ、預かり資産が大流出したことで、くりっく365も非を認めました。
その結果、8.415のレートは異常と認められ、その価格でロスカットされた取引は取り消されました。
苦情申請と資金の引き上げがあってようやく動いた後手後手の対応ですが、顧客の訴えはがブローカーを動かすことに成功したわけです。
残念ながら全ての取引の約定が取り消されたわけではなく、残った被害者が今回の訴訟に繋がったようですが。
私達の個人の力は極めて弱く、強大な証券会社には太刀打ちできません。
しかし、多くの人が苦情を訴え、報道機関に働きかければ、必ず譲歩を勝ち取ることができます。
ランドショックやスイスフランショックに限らず、金融被害を受けた方はできるだけ金融庁や消費者センター、フィンマックといった機関にクレームを送ってください。
言うだけならタダです。
匿名でも構いません。
口に出して、社会に不正を訴えることに意味があるのです。
一人一人の声は小さくても多くの声が集まれば、きっと社会を変えることができます。

こんな虚偽がまかり通る世の中に終止符を!
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