市場操縦で逮捕されるのは弱小投資家だけ

日夜正義のために戦っているというのに、この仕打ちはいったい・・・
2010年5月の株価急落「フラッシュクラッシュ」を引き起こしたトレーダーが逮捕されたそうです。
逮捕されたのは英国人のナビンダー・サラオ氏。
大量の注文を発注した後、即座にキャンセルする「スプーフィング(見せ玉)」という行為で株価を操縦し、急落を引き起こしたとされています。
彼が市場操縦で得た利益は、なんと50億円とか。。
何年もこういった急落に巻き込まれてロスカットを続けてきた猫賢者としては、少々溜飲が下がったのは否めません。
しかし、現実に彼が諸悪の根源かというと、そうではないのでしょうね。
36歳の投資家が一人で歴史に残る大暴落を起こしたとか、一体誰が信じるのやら。
おおかた、トカゲの尻尾切りにでも遭ったのでしょう。
現在の市場はどこもアルゴリズムによる高速取引が飛び交い、コンマ何秒のスピードで注文とキャンセルが行われています。
何が正当な取引で、何が不当な取引なのか、判断するのは極めて難しいでしょう。
そもそも合法・違法問わず、90%以上は投機的な取引なのだし。
最初から取引する意志がなければ、スプーフィングとして違法。
取引する意志はあったけど、途中で気が変わってキャンセルしたのなら合法。
読心術でもないと判断できませんね。
株式市場にしても、為替市場にしても、どこもかしこも疑わしい行為だらけです。
あらゆる組織が価格を操縦しようと企み、互いに食い合って暴れまわっています。
こんな事件なんて、氷山の一角なのでしょうね。
中には今回のように摘発されることもありますが、実際に刑事事件となって起訴されたのはほんの数件だけです。
しかも、実際に事が起こってから何年も経って立件されます。
警察も国家機関も、クソの役にも立たない。
何より問題なのは、大きな犯罪ほど裁かれないこと。
こそこそ仕掛けた小物は罪に問われても、堂々と相場を操縦した大物は誰も裁かないのです。
例えばレート下限を守ると約束しながら、突然それを反故にしたスイス中央銀行。
多額の債務デフォルトをほのめかして、金融市場を混乱させるギリシャ政府。
国民の年金をギャンブルにつぎ込んで、株価を吊り上げる安倍政権。
コロコロ発言を変えて為替相場を歪める内閣官房参与。
あちこちの要人が口先・実質問わず介入を繰り返しているというのに、彼等はいっこうに逮捕される気配がありません。
捕まるのはナビンダー・サラオやエセ賢者といった小物だけです。

ごめんなさい。もうしません。
大きな悪行だからといって、確実に罰が与えられるわけではありません。
ただ弱者の不正に世間は厳しく、罰せられやすいというだけのことです。

世間の批判はいつも的外れ。
もっと処罰すべき相手がいるというのに、誰もそれを見ようとしない。