チャートを逆さにしてみると真実が見える

奥さん熊似なのか。
下はある主要通貨ペアのチャートです。
そこそこ流通量も多い人気ペアの一つです。

さて、何の通貨ペアでしょうか?
当ててみてください。
主要通貨ペアの一つなので、FXトレーダーなら当然わかりますよね?
いつも見るアレですよ。
わからない人は、為替レートの推移をよく見てください。
3~4年くらい前はある程度安定していますが、ここ2年くらいは随分軟調ですね。
特にここ1年の下げがきついのがわかります。
実はドルストなので、基準通貨はUSDです。
とある通貨が売られまくって、ドルが買われているわけです。
こんなに下げまくるなんて、なんて弱い通貨でしょうか。
きっとブラジルやトルコのような経済的に不安定な新興国なんでしょうね。
ちなみにこのグラフの分子分母を入れ替えると、次のグラフになります。

いい加減わかりましたよね。
いえ、もちろん最初からわかっていましたよね。
黄金の国ジパングこと、日本国の通貨です。
上がJPY/USDチャート、下がUSD/JPYチャートです。
どちらもInvestingのチャートですが、基準通貨を入れ替えて若干種類を変えただけで、まるで違う通貨ペアのように感じます。
本質的には全く同じだというのに。
上のグラフを見ていると、
「どこかのショボイ国がケチョンケチョンに売り叩かれている」
という感じで、哀れに感じられます。
ここの国民には悪いが、「この通貨は買いたくない」と思ってしまいます。
下のグラフを見ると、チャートがグングン上がって、猛々しい気持ちになります。
経済成長力の高い国が買われているのかな、って感じです。
「トレンドに乗って買っていこう!」と思うか、あるいは「こんな高値ではもう買えない」と思うかは人それぞれですが、上のチャートを見たときと感じたことは違うはず。
少なくとも上のグラフを見たときより、ポジティブな感情を持ったはずです。
これが初心者トレーダーにありがちな問題の一つであり、多くの日本人が抱える誤認識の元凶でもあります。
「全く同じ現象なのに、方向を変えるだけで全く逆の印象を持ってしまう」のが、私達の欠陥なのです。
上がるのは、良いことです。
為替レートが上がり、株価がどんどん上がっていけば、景気がよくなったような気がします。
そうしてくれた為政者は、きっと大衆の支持を集めることでしょう。

下がるのは、悪いことです。
為替レートが下がり、株価が下がっていったら、経済状況は悪化しているように感じられます。
それをもたらした為政者は、きっと怒った大衆から批判されることでしょう。

どちらかが偽者ということはありません。
どっちも正しいデータです。
ただ見る方向によって真実は違っていて、両方見ないと答えはわかりません。
政府やメディアが見せたい部分だけを抽出した映像だけを見ても、ホントのことはわからないのです。
USD/JPYとJPY/USDの印象が違うように、EUR/USDとUSD/EURの印象も違います。
USD/TRYとTRY/USDも違いますし、USD/BRLとBRL/USDも違います。
もしも基準通貨が全て逆に表示されていたら、貴方は今と同じ取引をしていたでしょうか?
それとも行き過ぎた相場の動きを感じて取引を取りやめたり、逆のポジションを取っていたでしょうか?
エセ賢者自身は、後者だったと思います。
ショートもロングも、本質的には同じものです。
ただ見る方向が違うだけで、私達の認識はいくらでも変わってしまう。
自分の判断に自信が持てなくなったら、チャートを逆にしてみてください。
基準を逆転させて、向こう側から物事を見てください。
世界というのは、本当にそれだけで変わってしまうのだから。

ひっくり返しても、猫の可愛さは変わらない。
つまり、これが真理だということか。
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