過去最大に膨れ上がったマネーサプライと歴史的円安

仏様さえ投売りされる、この時代。
主要国の実効為替レートを見たら、日本がダントツのビリになっていました。
オーストラリアやカナダはともかく、トルコやブラジルより下って何だよ。

米ドル高の現状では当然ながら、実質ドルペッグの中国・サウジアラビア・香港は強い。
それ以外でも、イギリスやスイス、韓国なんかも強めです。
それに対し、我が国の実効為替レートは中国の半分近い有様。
いかに日本円が世界で過小評価されているのかがわかります。
それがどれだけ大変なことかわからない人は、ニューヨークあたりに海外旅行してみてください。
物価の差がどれだけ開いているのかわかりますから。
3年前からすると、全ての料金がだいたい1.5倍くらいになっているはず。
このデタラメな円安を作り出したのは、言うまでもなく日銀の異次元緩和です。
国債の大半を日銀が買い取り、市中にジャブジャブ資金を注ぎ込むことによって、異様な円安株高が実現しました。
下のグラフは、ここ百年くらいのマネタリーベース(現金通貨+日銀当座預金)の推移です。

左側に突き出しているのが1946年、つまり戦時のマネタリーベースです。
そして右側は当然、現在のマネタリーベースです。
太平洋戦争のために莫大な通貨供給を行っていた戦時より、今現在のほうが通貨供給量が大きいという異常事態なのです。
ひょっとすると、日本は今も戦争をしているのか?
5月のマネタリーベースは、307兆円。
日銀は2014年の追加緩和以降目立った動きを見せていませんが、その間も延々と長期国債を買って通貨供給量を増やしています。
その供給量は既にGDP比で、過去最大を更新しています。
日銀は出口戦略を一切示唆していませんので、ここまま新たな追加緩和がなくても、マネーサプライは増加の一途を辿るでしょう。
現在でもGDPの6割近くあるマネタリーベースは、1~2年でGDPを超え、終戦時の倍以上に膨れ上がると思われます。
現在の若者は知らないでしょうが、終戦直前のインフレ率は最大で300%近くにも達しました。
モノが溢れる現在社会で当時と全く同じ現象が起こるとは考えにくいのですが、現代がそれに近い状況にあることは覚えておいたほうがいいでしょう。
仮に世界規模の飢饉や貿易の停止、自然災害による流通のストップがあれば、需要と供給のバランスが崩れて、一気にインフレが進むかもしれません。
現在のアベノミクスの問題が表面化しないのは、原油をはじめとする資源安の恩恵のおかげとも言えるでしょう。
米国の利上げ延期により現在の為替は一旦落ち着いていますが、長期的にトレンドが変わる兆しはなく、いずれまた円安ドル高の流れに回帰していくでしょう。
ギリシャショック等各国の経済危機さえ乗り越えられれば、大まかな方向性は変わらないはずです。
別にクロス円ロングのアホールドを肯定したいわけじゃないし、NZDやTRYはやっぱり落ちると思いますが。
日銀が異次元緩和を続ける限り、円安とインフレは止まりません。
国債を買い支えて国民の購買力をそぎ落とす政策に同意するわけではありませんが、先を見通しやすいこと自体は悪いことではないのかもしれません。

実は既に戦時だったりするのかも。
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