時価総額の嘘
2015-07-30|経済を考える

意味ないなら出版すんな!
中国株の急激な下落で、投資家に大きな被害が出ています。
ニュースでは、
「3割以上の暴落により時価総額が400兆円も減少した」
と報道される大事件です。
400兆円ですか。
ものすごい大金ですね。
そんな大金が一体どこから来て、どこへ消えたのでしょうか?
ここで何か変だと思った貴方は、勘の鋭い方です。
実を言うと、400兆円などというお金はどこにも存在しないし、失われてもいません。
ニュース番組はありもしないものを取り上げて、あたかも莫大な損失が発生したかのように見せかけているだけなのです。
それを説明するために、一つたとえ話をしましょう。
現在金の値段は1グラム4000円で、貴方は金を1kg持っていたとしましょう。
貴方の持つ金はそのままの値段で売れるので、換金すると400万円になります。
この計算は何も間違っていません。
でも、貴方の持つ金が膨大で、一度に売れない量であったら、結果は変わります。
仮に1トンの金を持っていたら、売るたびに金の価格が下がってしまい、結果的に当初の予定より大分安く買い叩かれてしまいます。
少なくとも、時価総額である40億円を大きく下回ることは間違いないでしょう。
具体的にいくらになるかは市場の動向次第ですが、仮に売買量と値段を数式で表すことができるのなら、等比級数あるいは積分によって計算することができます。
理系の人ならある程度理解できると思いますが、変数を定積分することでその総和(図形における面積)を計算することができるため、その応用によって売買金額の総和を求めることが可能なのです。
数学って、凄いよね~。
仮に1kg売るたびに1円ずつ金価格が下がるとすれば、金価格は、
f(x)=4000-x xは既に売買量(kg) x=0~1000
となります。
最初の1kgは4000k円で売れますが、1001kg目は3000k円でしか売れません。
1001kgまで売ったときの売却額を積分によって求めると、
∫f(x)dx(0~1000)=4000x-x^2/2=4000000-1000000/2=3500000[k円]
なんと35億円になります。
本来40億円手に入るはずだったのに、5億円も減ってしまうのです。
ちなみに値動きが大きいほど売却金額も小さくなります。
1kgあたり2円の値下がりがある場合は、30億円。
4円の値下がりがあれば20億円まで低下し、金の値段がゼロになるためこれ以上売ることはできなくなります。
(現実の値段はマイナスにならないので注意)
40億円の価値があると言われていても、実際に売ったら20億円で売れた。
これは時価総額が偽りであり、明らかな過大評価であることを証明しています。
今回は金という現物資産の例で説明してみましたが、株式や債券の場合でも同じような計算が適用できるでしょう。
むしろ現物より遥かに値動きの大きい株式の場合、僅かな取引で価格が暴落し、価値が保てなくなる可能性が高い。
たった1割の株が売られただけで、価格が半減するのが株式ですから。
おそらく短期間に全体の3割の売り注文が入った時点で取引は全て停止し、全ての株券は紙屑同然になっているでしょう。
その場合売れるだけ株を売ったとしても、残る資金は時価総額の3割程度でしかないことになる。
かつてのバブルの時代には、東京の土地を全て売ればアメリカ全土が買えるほどに、地価が高騰しました。
しかし、それは投機によって吊り上げられた偽りの価値でしかなく、結果として化けの皮が剥がれることになりました。
目先の数字は、決して実態を示しているわけではないのです。
レートとは虚構です。
何百兆という膨大な時価総額は株価の頂点で単純計算した数字でしかなく、現実には存在しない幻なのです。

幻でもいいから、こんな体験をしてみたい。