急落する商品価格と連動する資源国通貨安

いくら日本人でも、米だけじゃ困る。
米国の利上げ示唆以降、新興国通貨が急落しています。
豪ドル、NZドル、カナダドル、南アフリカランドなど、いわゆる資源国の通貨は軒並み軟調です。
一方、通貨だけでなく商品安もますます進み、あらゆる資源の価格が低下しています。
この傾向からすると、資源国の通貨レートと資源の価格には相関があることがわかります。
各国の鉱物資源の生産量、輸出量から考えるに、それぞれの国と資源の関係は次のようになると思われます。
オーストラリア⇒鉄鉱石、金、石炭
カナダ⇒原油、ウラン
ニュージーランド⇒牛乳
ロシア⇒原油、天然ガス
南アフリカ共和国⇒金、ダイヤモンド、プラチナ
メキシコ⇒銀
ブラジル⇒鉄鉱石
これらの国の為替レートと商品価格変動を見比べると、実際に相関性が見られます。
鉄鉱石の値段が下がれば、オーストリアやブラジルの通貨も落ちています。
牛乳の値段が下がると、ニュージーランドドルも下がっています。
金やプラチナほどではありませんが、鉱物資源が下がると南アフリカランドも軟調になります。
最近は殆どの資源が下落していますので、いまいち違いはわからないのだけど・・・
資源価格が下がると資源国の通貨も下がるのは、単純に輸出高が下がるからです。
(実際はそれに乗じて動く投機的取引が原因だが)
日本は乳製品の輸入に高い関税をかけているため輸入していませんが、ニュージーランドは世界有数の酪農大国です。
最大の企業であるフォンテラの業績が、国家の産業を支えていると言ってもいい。
牛に病気が発生したり、畜産物の価格が下落すれば、ニュージーランドの産業は大きな打撃を受けます。
牛乳の価格低下を補うために政府が自国通貨安に誘導したというのが、最近のNZD暴落の原因ではないでしょうか?
オーストラリアが通貨安を望んでいるのも、おそらく同じ理由。
中国の景気減速に伴う鉱物資源の需要減が、オーストラリアの通貨安を誘導しているのでしょう。
資源国にとって、資源価格は産業の命綱です。
輸出が伸びなければ産業は衰退し、通貨も必然的に弱くなります。
世界的な商品安のトレンドが続く限り、新興国通貨の軟調は続くでしょう。
仮に資源安の状態で通貨が上昇したとしても、すぐに修正される公算が高い。
ここしばらくは、米ドル買い・資源国売りが安定しそうです。

牛肉好きだけど、こうして見ると食欲なくなるなぁ。