GDPや経済成長と為替レートに相関関係はない

ずっと勘違いしてたよ! Σ(´Д`*)
次の二つの国があったとして、貴方はどちらの国の通貨が強くなると思いますか?
A. 経済成長が著しく、GDPが右肩上がりに成長している国
B. 経済が停滞し、GDPもほとんど変わらない国
特に考えずフィーリングで選ぶなら、Aの国ですかね。
経済が活発な国のほうが、通貨も強くなりそうです。
しかし、実際に投資してみると、その考えは間違いであったことを思い知らされます。
「GDPが高くなるほど通貨高になる法則」
なんて、世界中のどこにもないのですから。
信じられない人は、実際に数字を見てみましょう。
以下は、2014年における各国の成長率を比べたデータです。
<2014年GDP経済成長率ランキング>
1位 エチオピア 10.347
2位 トルクメニスタン 10.322
3位 コンゴ(旧ザイール) 9.093
4位 ウズベキスタン 8.1
5位 パラオ 7.952
12位 中国 7.364
15位 インド 7.168
30位 フィリピン 6.096
32位 マレーシア 6.021
35位 ベトナム 5.98
48位 インドネシア 5.025
86位 韓国 3.316
89位 ニュージーランド 3.239
104位 トルコ 2.898
109位 オーストラリア 2.709
111位 イギリス 2.553
113位 カナダ 2.532
115位 アメリカ 2.389
119位 香港 2.318
133位 スイス 1.993
140位 ドイツ 1.607
143位 南アフリカ 1.525
160位 ギリシャ 0.774
162位 ロシア 0.622
168位 フランス 0.361
170位 ブラジル 0.145
172位 日本 -0.059
もしもGDPと為替レートに相関があるのだとすれば、エチオピアやトルクメスタンはすさまじいい通貨高に見舞われるはずですが、そんなことは起きていません。
上記のランキングで通貨の強弱が決まるなら、
CNH>INR>NZD>TRY>AUD>GBP>CAD>USD>CHF>ZAR>JPY
になっているはずですが、全然そんなことはありませんね。
2014年はUSDとGBPの圧勝で、TRYやAUDはボロボロだったはず。
比較的成長率の高いアジア諸国(フィリピンやインドネシア、マレーシア)も、近年最安値を更新しています。
新興国の長期的傾向ならどうかというと、こちらも明確な方向性は出ません。
下のグラフは、南アフリカの経済成長率とランド円のレートを示したものです。
(南アフリカランドで資産運用より引用)

2009年を除いてずっとプラス成長をしていますが、為替レートが上がっているわけではありませんね。
2003年~2006年だけ見ると相関がありそうに見えなくもありませんが、その後は全く関係なし。
個人的には、
「高度経済成長期の日本のように、国が発展するとインフレが進み、為替レートが低下する」
と思っていましたが、必ずしも逆相関になるものでもないようです。

経済成長に関係なく、下落する通貨は下落する。
以上のデータから判断すると、
「GDPと為替レートに直接の関係はない」
と考えるのが、客観的な結論と言えるでしょう。
なお、各国の指標(米雇用統計など)の良し悪しによって為替が急騰・急落することもありますが、それは投機的な仕掛けであって、長期的に影響を与えるものではありません。
今回の件とは、区別するべきかと思います。
悪徳業者や銀行員の中には、新興国の将来性をアピールして金融商品を買わせる者もいますが、それはただの詐欺です。
経済成長率と為替レートに明確な関係はありませんので、そういった甘言には乗らないでください。

もう経済がどうとかいう問題じゃないよ・・・