村上ファンドの相場操縦は誰にも証明できない

どんな世界にも、踏み入れてはいけない領域というものがある!((((;゚Д゚)))))))
村上ファンドの元代表、村上世彰氏が、相場操縦の疑いで証券取引等監視委員会(SESC)から強制調査を受けました。
アパレル大手のTSIホールディングスの株価を「終値関与」と呼ばれる手口で不正に引き下げ、数千万円の利益を得ていたとされています。
過去にも ニッポン放送株のインサイダー取引で起訴されているというのに、全く懲りないものですね。
30億円を稼ぐ一流トレーダーから、一転して犯罪者へ。
一攫千金を狙う姿勢には憧れますが、こうはなりたくないものです。
猫賢者も、逮捕されないように気を付けないといけませんね。

あれ、なんで捕まってるの?
法律には厳密なルールがあり、それに抵触しない限り司法に裁かれることはありません。
人を傷つけなければ傷害罪にはならないし、物を盗まなければ窃盗罪にはならない。
虚偽を伝えなければ詐欺罪にはならないし、他人の家屋に入らなければ不法侵入にはならない。
犯罪になるのは、法律で定められた条件を満たした時だけなのです。
ちなみに、私は動物愛護法違反で38回起訴され、36回有罪になりました。
「だったら村上氏は金商法のルールに抵触したのか? 抵触しないように気を付けていれば捕まらなかったのか?」
というと、必ずしもそうではありません。
市場操縦というのはあくまで主観的な判断でしかなく、何をもってインサイダーを判断するのかという、明確な基準は存在しないからです。
もしも株価操作に厳密な条件を設定すれば、それ以外のアクションは全て無罪になります。
誰もが法律に接触しないギリギリのラインで、堂々と仕掛けるでしょう。
だから、金商法の判断は極めて感性的で、社会通念によって左右される内容になっているのです。
彼は空売りによって利益を上げましたが、空売り自体は犯罪でも何でもありません。
取引時間に売った株を取引終了間際に買い戻していますが、それが違反なわけでもありません。
エントリーから決済までの取引自体は、きちんとルールに則った行動だったわけです。
そもそも、彼が本当に市場を操縦しようとしたか、知る術はありません。
心を読む機械も超能力者も、今の世界にはいないのですから。
本人の思惑がどうあれ、他人から見て株価操作と見なされ、金融庁がそれを認めたなら、それは立派な違反になります。
ある程度の資金量があり、短期取引を盛んに行う株トレーダーなら、誰もが起訴される危険がある、ということを覚えておいてください。
極端な話、ちょっとした心変わりで指値を変更しただけで、見せ玉扱いされるかもしれませんよ?

株価操縦と見なされない程度まで取引量を減らすか、
何ヶ月もかかる長期取引だけ行うか、
買い注文だけするか、
インサイダーのないFXに移るかすれば、
逮捕される危険は限りなく小さくなるでしょう。
しかし、そんなことをしてたら、トレードなんかできませんよね。
わざわざ儲ける機会を自分で潰してどうする?
確かに村上氏の取引は疑わしいものであり、身の潔白を証明する方法はありません。
何億円も稼いでいる投資家に同情する人も、まずいないでしょう。
けれど、明確な基準のない株取引の世界では、誰もが村上世彰になる可能性があることを忘れてはいけません。
一般人だから大丈夫と高をくくっていると、足元を掬われるかもしれませんよ?

世の中、どこで誰が見ているかわからない。
こうしている間にも、私達は監視されているのかもしれない。