原油がヤバイと、世界経済がヤバイ

ここまで落ちたか・・・ (´;ω;`)
2016年に入ってから非常に不安定な相場が続いており、為替も株価も乱高下しています。
しかし、それにもまして大きく揺れ動いているのが、原油価格。
1年前に100ドル程度だったのが、今や30ドル近辺をウロウロ。
ジェットコースターのような急降下が、毎週のように発生しています。

30ドル割れで低迷していた原油価格ですが、2/12にアラブ首長国連邦が「他の産油国と協力する用意がある」と発言したことにより、減産期待で3.23ドル(12.32%)も上昇。
ドル円で言えば、一日で14円ぐらい高騰したことになります。
まだ減産が決まったわけでもないのに、ここまで動くか。
とんでもないボラティリティですよねぇ。
今や世界の投資家は原油の動きを見て、リスクオフとリスクオンを判断しています。
日銀やドイツ銀行の発言より、石油輸出国機構(OPEC)の声明のほうが重要かもしれませんね。
『商品の価格』と『その産出国の為替レート』には密接な関係がありますが、原油に限って言うと、シンプルに相関を表すことはできません。
なぜかというと、中東の産油国のほとんどは、ドルペッグを採用しているからです。
例えばサウジアラビア・リヤルはドルペッグ通貨であり、サウジアラビアの経済がどうなろうと(ペッグを解除しない限り)独自の動きをすることはありません。
ただUSDの動きに追随するだけです。
FXでSAR/JPYなんて通貨ペアがあっても、取引する価値はないでしょう。
サウジアラビアやイラクなど、産油国の経済に問題があれば、それは当事国ではなく、ペッグ先の米ドルに降りかかってくる。
そう考えると、USDとは単にアメリカ合衆国の通貨ではなく、「米国を含む産油国全体の通貨」と考えたほうがいいのかもしれません。
近年為替相場が不安定になっている要因は複数ありますが、原油価格(=産油国の問題)がその一因であるのは間違いないでしょう。
オイルマネーは、全ての相場に投入されているわけだし。
独自の通貨を持つロシアやカナダは、原油価格が下がっても為替レートも下がるため、国内の収支が急激に悪化することはありません。
しかし、ペッグ通貨を採用している産油国・資源国は通貨の変動が小さいため、資源価格の下落が財政に直結してしまう。

原油高の恩恵を最大限に受けて、贅沢の限りを尽くしてきたサウジも、原油安で急速に財務状況が悪化しています。
公共料金を無料にし、何万といる王族ニートを養ってきた資金も、いつまで持つのか。
今はまだ余力が残っているようですが、いずれは外貨準備が尽きてドルペッグを解除せざるを得なくなるかもしれません。
実は、2015年にアゼルバイジャンやカザフスタンなどのCIS国が、ドルペッグを解除してIMFのお世話になっています。
ドル高・資源安で、為替のコントロールが保てなくなったんでしょうね。
かつてのアジア通貨危機の際も、多くの国々がペッグ制から次々に離脱し、極端なドル高と、それ以上の円高をもたらしまいた。
そういえば、スイスフランショックも、ユーロペッグからの離脱による経済危機でした。
歴史はやっぱり繰り返すんでしょうか?
OPECはなんとかして原油価格の下落を止めよとしていますが、他国(ロシア等)とのシェア争いやシェールオイルの台頭もあるため、先の見通しは暗い。
今年からようやくシェールが減産を始めましたが、既に膨大な生産が行われているため、効果は限定的かもしれない。
オイルマネーの還流は、これからも為替相場・株式相場を揺るがし、場合によってはペッグ離脱・経済危機に発展する可能性もあります。
世界中の機関投資家が同様、個人投資家も原油価格の行方に気を配ったほうがいいでしょう。

たかが油に、世界経済が左右されるとは・・・
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