為替介入もせず、止まらない円高をただ注視するのが日本政府の仕事です

名前だけ変えても、意味ないよ。
2016年1月にマイナス金利を発表してから、金融緩和拡大にも関わらず円高株安が続いています。
ドル円は120円から107円へ、日経は2万円から1万5千円台へ、まるで金融危機でも起きたのかと思うような下落幅です。
実際に起きているのはパナマ文書と難民問題くらいで、どこかの国や銀行がデフォルトしたわけでもないのですが。
世界一緩和しているのに、主要16通貨で最強の日本円。
にわかには信じがたい話だが、それが現実です。
円高が日本国民全てに対して不都合かというと、そういうわけでもありません。
むしろ円の価値が高くなるほうが、庶民の暮らしは楽になるかもしれない。
けれど、4/1の日銀短観における想定為替レートは、2016年上期で1ドル=117.45円。
上場企業の大半も想定為替レートを120円付近にしているため、決算の悪化に直結する円高は非常に不都合だったりします。
これでまた倒産件数が増えたら、『円高不況』とか『円高倒産』とか言って、民主党時代と同じ扱いをされるんでしょうか。
心配しなくても、自民党と民進党は同じ穴のムジナだから、気にしなくていいよ。

これを受けて、日本政府は、
「為替市場に投機的な動きがみられる」
「場合によっては必要な措置を取る」
などと牽制発言を繰り返していますが、反応は限定的。
発言でわずかに円安に動いても、またすぐに売り込まれて円高に戻る。
まるで、民主党時代の再現を見ているようですね。
政府があの頃から、何も変わっていないのがよくわかります。
ここまで同じならいっそまた為替介入でもしてくれればいいのですが、今回は厳しいでしょう。
110円割れでもなかったし、105円を割れてもおそらくない。
<介入しない理由>
・米国がドル安政策に転換している
・日本は米国の犬である
・G20で通貨安競争をしないように釘を刺されている
・2011年のレート(80円)に対して、100円オーバーは円安すぎる
震災のようなショックが起こって1日で5円以上円高になれば、その翌日に動くこともあり得ますが、それまでは「市場を注視する」と言って傍観を続けるでしょう。
実際に介入する頃には、私達のロングポジションは全部狩られて、跡形もなくなっているはず。
せいぜい、日銀がまた微妙な緩和策を提言するのが関の山か。
それがプラスに働くかどうかは、神のみぞ知るが。
完全に米国に隷属し、主権を奪われている安倍政権に、自由に為替市場を動かす権限はありません。
米国緩和縮小の受け皿として始まったアホノミクスも、利上げが始まった今では既に用済みか。

海外のファンドは皆、日本円をロングしてミセスワタナベの損切りを誘発すれば利益になることを知っています。
さらに急落させて、2011年以来の介入を引き出そうと考えているかもしれません。
この数年で日本円も随分毀損されましたが、米国も長期的にはかなりインフレしています。
USD/JPY=100を超えて円高が進んでも、とりあえず驚くことはないでしょう。

逆に円安に戻るとしても、それは世界情勢や宗主国の問題であって、日本の思惑とは何も関係ない。
この国には、何の決定権もないのだから。
円高になるとスケベロングしてしまうエセトレーダーとしては実に残念ですが、日本政府に円高株安を止める抜本的改革は期待できそうにありません。
他力本願より、相場の動きに素直についていくのが賢明でしょう。

三次元緩和と聞くと何か凄そうに思えるが、所詮言葉遊びに過ぎない。
中身が伴わないスピーチでは、人は動かないのだ。
<関連記事>
⇒プラザ合意と上海合意 人為的なドル安政策の脅威
- 関連記事
- Genre:株式・投資・マネー
- Thread:株式・FX・投資・マネー最新情報